イギリスとアルゼンチンの研究者は、最も大きく重い鳥であるコンドルが飛行時にほとんど羽ばたかないことを発見しています。
鳥の羽ばたきは離陸や着陸、加速などに欠かせませんが、飛行時にどれくらいの頻度で行われているのかはほとんど知られていません。
小型のフライトレコーダーを装着した実験によると、コンドルは全飛行時間の「1%」しか羽ばたきません。
全飛行時間の1%しか羽ばたかないコンドル
コンドル(Vultur gryphus-アンデスコンドル)は翼を広げた大きさが3メートル、体重が15キロもある、飛行する鳥のなかで最大の種です。
羽ばたきは鳥にとって大きなエネルギーを消費する行動です。
飛行時の羽ばたき回数を知ることは、かつて地上に存在していたコンドルよりも大きな種が、なぜ絶滅したのかについての洞察につながります。
イギリスのスウォンジー大学とアルゼンチンのコマウエ大学の生物学者チームは、パタゴニアに生息している8羽のコンドルに、羽ばたきや飛行時間を記録できるオリジナルのフライトレコーダーを取りつけ、216時間以上の貴重なデータを取得しました。
フライトレコーダーは1週間後に、自動的に地面に落ちるようブログラムされました。
容易ではなかった回収を終え分析されたデータは、コンドルが想像以上に“羽ばたかない”ことを示しました。
羽ばたきは離陸時と着陸時に集中して起き、飛行中にはほとんど見られませんでした。
ある1羽に至っては、1度も羽ばたかずに5時間以上をかけて172kmの距離を移動しました。
コンドルの羽ばたきに使われる時間は、全飛行時間の1%でした。
スウォンジー大学の生物学者であるエミリー・シェパード教授は羽ばたきの少なさについて、「コンドルは飛行のスペシャリストですが、これほどとは予想もしていなかった」と述べています。
コンドルが羽ばたきに使った時間のうちの75%は離陸に関係していました。
コンドルは体重が重いため、離陸時にはかなりのエネルギーを使います。
しかし一度飛んでしまえば大きな翼が風をとらえ、地上の餌を探すことに専念できます。
データからは、コンドルが寒い冬のような上昇気流が起きにくい環境においても、1kmあたり約2秒しか羽ばたかないことがわかっています。
研究者はこれらの結果から、離陸はコンドルのような大型の鳥にとって、最もエネルギーを必要とする行為であると結論づけています。
コマウエ大学の生物学者であるセルジオ・ランベルトゥッチ氏は、「コンドルは腐肉を求めて高い山を1日に何回も旋回しており、羽ばたきを必要としない飛び方は、そうしたライフスタイルには不可欠である」と指摘しています。
研究結果は米国科学アカデミー紀要に掲載されました。
毎回餌にありつけるわけじゃないから、なるべく羽ばたかない方向に進化したのかもしれないね
体が大きい分、生き残りにはエネルギーの管理が重要というわけだな
References: Associated Press