ビーバーの存在は人と自然にとってプラス、洪水の勢いを止め生き物を増やすビーバーダム

動物
(yrjö jyske/Flickr)

イギリス南西部に位置するデヴォン州のいくつかの川では、2013年頃から野生のビーバーが目撃されるようになりました。

ビーバーは飼育下の環境から逃げ出し野生化したものと考えられ、地元では捕獲や駆除の計画が持ち上がりました。

2015年には2組の家族だけが確認されていましたが、現在その数は8組に増加しています。

その後野生のビーバーを巡っては様々な意見が出たため、政府は期間を設けビーバーの利点について科学的に証拠を集めることを決定しました。

 

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ビーバーの作るダムは洪水の勢いを止め、野生動物が集まる場所になる

 

英国エクセター大学のリチャード・ブレイジャー(Richard Brazier)教授たちの科学者チームは、政府の決定を受け、2015年から5年にわたって川とビーバーの関係性について調査してきました。

チームは、洪水が発生しやすい川の上流に作られたビーバーのダムが水の勢いを減らし下流への被害を抑えた例を筆頭に、ビーバーには環境への利点が多くあり、駆除するよりも共存することのほうが望ましいと結論づけました。

報告書は、ビーバーが川に含まれる糞尿や化学物質および肥料などの汚染物質をろ過する重要な役割を持ち、またビーバーが作る湿地帯がカワガラスやカモなどの鳥に恩恵を与えていると指摘しました。

また川に住む魚の数も、ビーバーの作るダムによって増えることがわかりました。

ある川では、ビーバーの作ったダムによって魚の生息数が37%多くなるという結果が出ています。

 

ビーバーの作ったダム Image: Franklin Vera Pacheco/wikimedia/CC BY-SA 3.0

 

報告書は利点だけでなく被害の実例も挙げています。

ビーバーの作るダムは川が氾濫した際に水の流れを遅くすることができる一方で、貴重な渓谷の農地に水を引き込む場合がありました。

5年の調査期間中、対象となった河川流域250㎢のうち5つの地点で、ビーバーのダムによるものと思われる水の被害が確認されました。

あるケースでは有機栽培のジャガイモ畑が浸水し、また別のケースでは川沿いの果樹園に侵入したビーバーが木をかじるなどの被害が見られました。

報告書はビーバーの被害について、積極的な管理を行うことでそのほとんどは解決されるとし、木を守るためのワイヤーを設置したり、時折ビーバーのダムを撤去したりするなどの方法について説明しています。

ブレイジャー教授は、「5年間にわたる詳細な調査の結果、ビーバーのプラスの影響はマイナスの影響を上回ると結論づけられる」と述べる一方、ビーバーの恩恵を受けるのは必ずしも費用を負担する人と同じではなく、下流での洪水リスクの低減は上流でのコスト上昇につながる可能性があると指摘しています。

 

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調査活動に参加したデヴォン・ワイルドライフ・トラストのマーク・エリオット(Mark Elliott)氏は、「この驚くべき動物たちが湿地の生態系で再び繁殖できることに驚いた」と述べ、今回の調査結果は、川や湿地に新しい命を吹き込むビーバーの無限の能力を示したものだとして、その成果を強調しました。

エリオット氏は、最近になって政府が承認した柵のある環境に野生のビーバーを放つという計画について、「固有種であるのなら柵で囲む必要はない」と指摘し、政府がしなければならないことは、特定の河川流域への野生動物の放流許可であると話しています。

 

英国の環境・食糧・農村地域省は、デヴォン州でのビーバーの調査を引き続き行うとしており、野生のビーバーの処遇については今年の9月に決定が下されることになっています。

 


 

 

かなで
かなで

ビーバーダムの周辺はいろんな生き物たちで賑わうんだよー

せつな
せつな

数百メートル規模のビーバーダムもあるらしい……

 

 

 

References:The Guardian

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