最少時には1分間に2回だけ、シロナガスクジラの心拍数が初めて計測される

動物

地球上で最大の動物であるシロナガスクジラはその大きさにも関わらずエビやオキアミ、プランクトンなどの小さな餌を主食とします。

巨大な体とゆったりとした動きはまさに海の王者の雰囲気を醸し出しています。

そんなシロナガスクジラには、海洋学者でさえわかっていないことがたくさんあります。

心拍数もその一つです。

クジラは哺乳類でありずっと水中にいることができないため、時折海面に顔を出して酸素を肺に入れる必要があります。

肺呼吸をする動物は人間も含め、基本的に体が大きいほど心拍数が少ないとされています。

人間の場合、通常は1分間に60~100回、運動後などは200回まで心拍数があがります。

一方最も小さい哺乳類の一つトガリネズミの種は、1分間に1,000回以上もの心拍数があります。

では地球で最も大きい哺乳類であるシロナガスクジラの心拍数はどれくらいなのでしょうか。

 

新しい調査は、シロナガスクジラの心拍数が非常に少ないことを明らかにしています。

 

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シロナガスクジラの心拍数は最も少ない場合、1分間に2回だけ

 

米国科学アカデミー紀要に掲載された世界で初めてとなるシロナガスクジラの心拍数に関する研究は、地球で最も大きい動物の興味深い一面を明らかにしています。

研究著者であるスタンフォード大学の海洋生物学者ジェレミー・ゴールドボーゲン氏たちのチームは、外洋で泳ぐシロナガスクジラの心拍数を計るため、プラスチック製のシェルに入れられたタグを作成しました。

このタグはクジラの心臓のリズムを計測することができ、またクジラの体を傷つけないために4つの吸盤が備わっています。

ゴールドボーゲン氏は「シロナガスクジラは広大な外洋にまたがり移動しているため見つけるのが困難だった」と打ち明けましたが、最終的には長年の経験と少しの幸運によりクジラを発見し、タグを取りつけることに成功しました。

見つかったのは全長約22メートルの雄のシロナガスクジラで、タグは6メートルの長さの炭素繊維でできたポールを使ってクジラの左のヒレのあたりに取りつけられました。

タグは正常に機能し、クジラの心拍数に関するデータは計9時間記録されました。

計測結果はシロナガスクジラの心拍数が非常に少ないことを明らかにしました。

 

シロナガスクジラの食事をしている際の心拍数は、1分間に4~8回で、最も低い時には1分間で2回しか拍動していませんでした。

また最も心拍数が大きくなるのは海面に浮上し呼吸をするときであり、その時の心拍数は1分間に25~37回でした。

 

身体が大きいほど心拍数が少ないというのが定説ですが、シロナガスクジラの心拍数はそれを確かに証明しています。

シロナガスクジラの最少2回という心拍数は、動物の大きさの限界を示唆している可能性があります。

ゴールドボーゲン氏は「シロナガスクジラの心拍数に関するデータは、動物の成長速度や体が大きい種についての理解を助けるだろう」と語っています。

 


 

 

かなで
かなで

1分間に2回……呼吸困難になりそう……

しぐれ
しぐれ

少ない回数でも全身に血が行き届いてるんだからすごいよね

 

References:Reuters