イラク戦争を描いたFPS「Six Days in Fallujah」 イスラム団体が販売自粛を求める声明を発表

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(Highwire Games/Victura)

アメリカ最大のイスラム擁護団体「アメリカ・イスラム関係評議会 (CAIR)」は、ソニーやマイクロソフト、Valveなどの主要なプラットフォーマーに対し、イラク戦争を描いたFPS「Six Days in Fallujah」を販売しないよう求める声明を発表しました。

 

「Six Days in Fallujah (シックスデイズ イン ファルージャ)」は、2004年11月にイラクのファルージャで発生したアメリカ軍とイラク武装勢力との戦いを描いた一人称視点のシューターで、Atomic Gamesが開発し、コナミから発売される予定でした。

しかし、犠牲となった兵士の家族からの抗議や、アメリカ側の視点で物語が進むことへの批判などから、コナミは2009年に発売を見送る決定を下しました。

その後、倒産したAtomic Gamesの当時の社長であったピーター・タムテ氏がプロジェクトを引き継ぎ、2021年後半の発売へ向け、現在も開発が進められています。

 

(Highwire Games/Victura)

 

CAIRは声明で「Six Days in Fallujahは、800人以上のイラク市民の命を奪った暴力を称賛する、“アラブの殺人シミュレーター”であり、イラクへの不法な侵攻を正当化し、イスラムへの恐怖を助長するものだ」と述べました。

そして、「偏見が人命を脅かしている昨今、Six Days in Fallujahのようなビデオゲームは、反イスラム的な感情の強化にしかつながらない」と指摘し、「ゲーム業界は、イスラム教徒の人間性を奪うことをやめなければならない」と強調しています。

CAIRは、ファルージャでの戦闘の際、アメリカ軍が国際法で禁止されている白リン弾を使用していたことや、戦闘後に先天的な障害を持つ赤ちゃんが数多く生まれたとする研究結果にも言及しています。

 

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開発者のタムテ氏は、多くの批判があるゲームの内容について、「プレイヤーはゲームをプレイすることにより、戦闘以降にファルージャで起こった様々なことについてもっと知りたいと思うようになります。彼らはそこから自身の結論を導くでしょう」と述べています。

タムテ氏によると「Six Days in Fallujah」では、アメリカ軍が戦闘で直面した混乱や、不確実性、恐怖などが再現され、非戦闘員のイラク人が家族を救うストーリーも語られます。

 

ゲームが扱う「第2次ファルージャの戦闘 (Second Battle of Fallujah)」は、2004年11月7日から12月23日まで行われ、アメリカ軍兵士95人、武装勢力1200~1500人が死亡しました。

国際赤十字社によると、この戦闘でイラク市民約800人が犠牲となっています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

最近起きた戦闘を題材にゲームを作るのは、いろいろと問題があるよね

せつな
せつな

現代シューターは、安易にアラブやイスラム圏を仮想敵にしてはいけないと思う……

 

Sources: Polygon,CAIR