1994年から2017年の間に失われた氷の量は28兆トン 温暖化の進行を示す証拠

自然
(Greenland Ice Sheet/Oregon State University/Flickr)

イギリスの科学者グループは、1994年から2017年までの衛星データを分析した結果、合計28兆トンもの氷が地球から失われたと報告しています。

 

氷の融解は海面を上昇させ低地に住む人の生活に影響を与えるだけでなく、惑星のもつ太陽熱を反射する能力も失わせます。

氷の下に隠れていた土は太陽の熱を吸収し、地球はますます熱くなっていきます。

また山岳地帯の氷河の融解は、淡水を必要としている人々の生活を奪います。

科学者は、28兆トンもの消失量を「驚異的」と表現し、このまま氷の解けるスピードが変わらなければ、今世紀末には海面が1メートル上昇する可能性があると警告しています。

 

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驚異的な氷の消失は温暖化が原因

 

リーズ大学、エディンバラ大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの科学者グループは、南アメリカ、アジア、カナダ、北極、南極、グリーンランドなどの氷の消失量を知るため、衛星データを使って分析を行いました。

 

1994年から2017年の間に失われた氷の量は、合計で28兆トンにも及び、消失の60%が北半球、40%が南半球で起きました。

氷が失われるスピードは90年代に入り加速し、年間の消失量は、これまでの0.8兆トンから1.2兆トンに増加しました。

期間中最も多く失われたのは北極海氷で7.6兆トン、次点が南極棚氷の6.5兆トンでした。

海氷が解けても水位は変わりませんが、南極やグリーンランドにある大陸氷河や、ヒマラヤ山脈などにある山岳氷河が解けた場合、新たな真水が加わり海面上昇が起きます。

データでは期間中に、世界各地の山岳氷河が6.2兆トン、グリーンランドの氷床が3.8兆トン、南極の氷床が2.5兆トン消失したことが明らかになっています。

これらの氷の消失は海面を約35ミリ上昇させました。

 

氷の解けるスピードと量は、国連の気候変動に関する政府間パネルが予測する最悪の温暖化シナリオと一致しています。

科学者は、このままのペースが続いた場合、今世紀末には海面が1メートル上昇すると考えています。

Cryosphere Discussionsに掲載されたレポートの著者の一人である、リーズ大学のアンドリュー・シェパード教授は、「海面の上昇1センチごとに、低地に住む約100万の人たちが故郷を追われることになる」と説明し、地球規模での氷の消失を明らかにした分析結果について、「私たち自身が驚いた」と述べています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

真水が入ると海の生態系にも影響が出てくるんだよね

ふうか
ふうか

既に新しくできる氷よりも解ける氷の方が多くなっているのだろうな

 

References:The Guardian