9,000万年前の南極は熱帯雨林、海底の地層サンプルから植物の根や花粉などの証拠

自然
(Andreas Kambanis/Flickr)

ドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究者などで構成された国際的なチームは、今から9,000万年前の南極大陸が熱帯雨林であった証拠を見つけたと発表しています。

1億4,500万年前から6,600万年前までの白亜紀の地球は、温暖な気候であったことが知られています。

学術誌Natureに掲載された研究は、当時の温暖な気候が南極にも及んでおり、この大陸が植物に満ち溢れた環境であったことを明らかにしています。

 

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9,000万年前の南極には熱帯雨林が存在していた

 

9,000万年前の南極の想像図 Credit: Alfred-Wegener-Institut/James McKay/CC-BY-4.0

 

アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所のヨハン・クラーゲス(Johann Klages)博士たちの研究チームは2017年に、西南極のパインアイランド氷河の周辺の海底から地層のサンプルを採取しました。

この場所は現在南極点から2,000km離れていますが、9,000万年前にはより南極に近かったため、ここで得られた試料は当時の気候や植生を知る重要な手がかりとなります。

 

赤いバツ印が地層サンプルを採取した地点 Credit: J. P. Klages, Alfred-Wegener-Institut

 

地層のサンプルの最初の数メートルは約25,000年前の氷河堆積物で、次の25メートルは約4,500万年前の砂岩で構成されていました。

この2つの層はあまり興味深いものではありませんでしたが、その次に現れた、9,200万年から8,300万年前にさかのぼる層は研究者を大いに驚かせました。

3メートルに及ぶ層は泥炭で構成され、石炭のような物質の他に、植物の根や胞子、花粉などの森の土壌と見られる成分が詰め込まれていました。

成分分析からは、これらの堆積物が針葉樹やシダなどの植物に由来していることがわかりました。

最終的にこの層からは65を超える種類の植物の証拠が見つかり、研究者はこの当時の南極が、現在のニュージーランドの南島で見られるような、針葉樹の熱帯雨林で覆われていたと結論づけています。

クラーゲス博士は当時の気候について「現在のドイツよりも暖かい」とし、年間平均気温が12度から13度であり、湖などの水温は20度ほどで快適だっただろうと話しています。

 

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当時の南極が熱帯雨林の存在するような温暖な気候であった場合、地球の温室効果ガスの濃度は、これまで考えられていたよりも遥かに高かった可能性があります。

この時代の南極の冬は太陽の光が届かない極夜が4カ月も続きますが、地層からの証拠は、土地を覆っていたのが氷ではなく豊かな緑であったことを示しました。

過去の南極が温暖であり、それを可能としたのが高い濃度の温室効果ガスであったという事実は、急速に進む気候変動に直面している現代人への警鐘となります。

英国バーミンガム大学の有機地球化学の専門家であるジェームズ・ベンドル(James Bendle)博士は、南極の生態系を研究することは、過去と将来の気候変動を理解するために重要であるとしたうえで、「化石燃料の使用を続ければ、次の世紀の初めには、二酸化炭素の濃度が9,000万年前と同じレベルになる可能性がある」と警告しています。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

南極の平均気温が12度から13度なんて信じられない暖かさだね

かなで
かなで

最近の南極の気温は昔と比べて高くなってるみたいだよ

 

References: The Guardian