環境問題を解決するために私たちには何ができますか?
ほとんどの人はこの問いに対し明確な答えを持ち合わせていません。(少なくとも“愛”だけでは地球を救うことはできません……今のところ)
地球の環境が良くない方向に向かっていることを知識ではわかっていても、日々の生活がある以上、何か特別な行動をとるのは言うほど簡単なことではありません。
しかし今までにありそうでなかった大規模な研究は、日常の生活を続けながら地球の環境保護に貢献できる方法を見つけ出しています。
その方法はとても簡単で、そして何より健康的です。
食材と環境との関係性――健康的な食事は地球も健康にする
米国の複数の大学の研究チームが合同で行った大規模な研究によると、人間が口にする食事は健康だけでなく地球の環境とも密接な関係があります。
研究チームは世界で食べられている食品とそれを作り出すために必要な資源とを照らし合わせ、環境への悪影響につながる食材について調査しています。
分析では、西洋的な食事で一般的な15の品目の健康と環境への影響度合いを評価しました。
それによると、果物、野菜、豆類、全粒穀物は健康に良いだけでなく、地球の環境と水資源の保護に最も適していることがわかりました。
一方で赤身の肉や加工された肉は、健康と環境への悪影響の度合いが最も高い食品でした。
また魚については赤身の肉よりも環境への負担は少ないものの、植物ベースの食事に比べると地球環境への負担は大きくなります。
そして砂糖がふんだんに使用されている食品――ビスケットや炭酸飲料など――は、環境への影響は少ないものの、(誰もが知っている通り)健康にはよくありませんでした。
人間の食事とそれがもたらす地球環境への影響度合いについて調べた研究は今回が初めてのものです。
Photo by Dan Gold on BURST
研究を主導したオックスフォード大学のマイケル・クラーク氏は、健康によくない食事は地球環境にも悪影響を及ぼすと述べます。
健康的でない食事は、地球の気候、生態系、水資源などを脅かしています。より良く、また持続可能な食事を選択することは、人々が健康を改善し環境を保護することができる一つの方法です。
この研究が新しいのは、食事が健康に与える影響についての長期間にわたるデータと、食材の出どころについてのデータをすり合わせたことにあります。
チームは、食材が環境に影響を及ぼす度合い(カーボンフットプリント――生産する際に生み出される温室効果ガスの割合)について調べる傍ら、過去の食事と健康に関する研究データを使い、主な重大疾患である心臓病、脳卒中、2型糖尿病、大腸がんを発症した人と彼らが食べていた食事について分析しました。
そして健康な人と、病気にかかったり死亡したりした人が食べていた食材を比べ、それらが生産の際にどの程度の環境負荷を地球に与えているのかを調べました。
※環境への負荷の部分については生産段階のものに限定し、輸送や加工、販売などで生じるものについては除外しています。
2つのデータを合わせた結果は、病気や死亡した人が口にしていた食材ほど、地球環境への負荷の度合いが高い、ことを示しました。
結果についてクラーク氏は、特に“赤身の肉の環境への負担が大きい”ことを挙げ、どのような肉であれ植物ベースの食事に変えることが、地球の環境にも健康にもよいと語っています。
研究チームはこの結果が、消費者や政策立案者、食品会社などに詳細な情報を与え、地球の環境を保護するためのよりよい選択肢につながることを期待しています。
また食材が与える健康と環境への影響について知らせる食品ラベルの開発も進めています。
健康的な食事が――それ以外に何もしなくても――環境保護につながっていることが明らかになったのは、地球環境の保護という課題を抱える人類にとって大きな希望です。
環境保護や気候変動に対して関心があるけど具体的にどうしたらいいの?
――難しいことはありません。
健康のために食事メニューを見直すだけで、誰でも地球を救う活動に参加できます。
明日から健康と地球のために肉は一切禁止にします!
せ、先生……お菓子は食べてもいいですか?
References:The Guardian,PNAS