年間で25億トンのCO2削減、新型ウイルスによるエネルギー需要の減少

自然
(Marcin Jozwiak/Unsplash)

新型コロナウイルスの蔓延により世界中で活動の自粛が呼びかけられているなか、気候の専門家たちは2020年の二酸化炭素の排出量を予測し、その量が、過去50年に起きた最大の景気後退時期よりもさらに減少する見通しであると発表しています。

 

新型ウイルスは人々の健康だけでなく世界の経済にも大きな影響を与えています。

仕事の何割かがリモートワークになり人々が家に籠り始めたため、輸送や航空業界からの二酸化炭素の排出量は大きく減少することが見込まれています。

減少するエネルギー需要は部門ごとで、石油が数十億バレル、天然ガスが数兆立方メートル、石炭が数百万トンになり、これにより2020年の二酸化炭素の排出量は25億トン削減されます。

 

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新型ウイルスによるエネルギー需要の落ち込みは過去最大規模

 

ノルウェーのエネルギーコンサルタント会社Rystad Energyは今年度の化石燃料の排出に関する分析結果を発表し、新型ウイルスによる石油需要の減少規模は、2008年の金融危機での落ち込みの5倍以上になると報告しました。

予測では2020年の原油需要は日量で1,100万バレル、年間で40億バレル減少し、これにより二酸化炭素の排出量が18億トン削減されます。

また電力と重工業の不振がガスと石炭の需要を押し下げ、この部門での二酸化炭素の排出量は合計で7億トン削減されます。

 

石油需要の落ち込みのほとんどは航空業界によってもたらされ、今年の航空交通量は例年の4分の1にまで減少する可能性があります。

Rystad EnergyのErik Holm Reiso氏は、「コロナウイルスの大流行はエネルギー市場にとって前例のない出来事であり、世界の炭素排出量に大きな影響を与える」と述べています。

またReiso氏は、「人々はリモートワークが機能することに気付いた場合、長距離飛行に対し疑問を抱くようになるかもしれない」と述べ、ウイルスの影響が収まってもエネルギー需要が過去のレベルに回復するかどうかはわからないと付け加えました。

 

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新型ウイルスによるエネルギー需要の減少は、予期せぬ形で各国が目指している温室効果ガスの削減に貢献しています。

これについて国際エネルギー機関(IEA)の責任者であるファティ・ビロル(Fatih Birol)博士は、化石燃料からの排出量の急激な減少を、気候への勝利とみなすべきではないと警告します。

ビロル博士は、「この減少は多くの人々が生活手段を失っている経済危機によって起きているのであり、気候政策に関する政府の正しい決定によるものではない」と指摘し、政府が今後クリーンなエネルギーへの支援を講じない場合、経済の回復によってエネルギー需要は簡単に元に戻ってしまう可能性があると話しています。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

新型ウイルスはいろんなところに影響を与えてるね

せつな
せつな

一日も早く収束してほしい……

 

References: The Guardian