英国エディンバラの高級住宅街で、SUVの所有者たちがひどい目に遭っています。
これは新市街地区に住むドライバーからの通報により発覚したもので、スコットランド警察によると、一帯に駐車してあったSUVタイプの車100台以上のタイヤがそろってパンクしていたということです。
パンクしたSUVのフロントガラスには、まるで犯行声明のようにビラが置かれており、そこには、SUVが「公害を引き起こす殺人機械」であり、「大量に燃料を消費する車は気候に悪影響を与える」などといった文章が書かれていました。
‘The group said they found so many SUVs in the area that they ran out of leaflets and “will be back”.’ #Edinburghhttps://t.co/s3JJxPVdmK
— The Tyre Extinguishers (@T_Extinguishers) April 11, 2022
「The Tyre Extinguishers (タイヤ消火器)」という名の集団は、SUVは人々の健康や安全、気候にとって災害だが、政府や政治家はこの問題に十分に取り組んでいないと指摘します。
SUVや4WDなどの大型車の市場は近年急速に拡大しており、その人気は特に裕福な都市部で顕著です。
SUVの世界での販売台数は既に3億台を超えており、2010年の6倍以上に達しました。
一方でSUVが、小型、中型車よりも多くのエネルギーを必要とし、それが大量の温室効果ガスの排出につながっていることはあまり知られていません。
国際エネルギー機関の2019年の調査によると、SUVは、過去10年間の二酸化炭素排出量の増加において第2位の原因です。
また最新(2021年)の調査では、世界のSUVドライバーを一つの国として見た場合、彼らが排出する二酸化炭素の量は約9億トンで、世界で6番目の多さになるという結果が出ています。
これは、電気自動車による二酸化炭素の削減を台無しにするものです。
SUVの強力なパワーは、本来活躍できる悪路や坂道であれば最適ですが、世界のSUVのほとんどは都市部のドライバーによって購入されています。
これについてThe Tyre Extinguishersは、「SUVは一部の特権階級が自らの富を誇示するためのものであり、所有者はそれをステータス・シンボルとみなしている」と述べ、大気汚染によって街を汚し人々の健康を害するSUVは、「不要である」と指摘しています。
The Tyre Extinguishersは簡素なウェブサイトを持っており、自分たちの理念を説明したうえで賛同者を募っています。
サイトでは代表的なSUVブランドとして、ランドローバー・ディスカバリー、ボルボ、ジープ、日産、トヨタを挙げ、10秒程度で素早くタイヤから空気を抜く方法を紹介しています。
またこうした違法な行動は、あくまで環境と自分たちの身を守るためのものであり、ドライバー本人ではなく、SUVという「燃料喰い車」を糾弾するためのものだと主張しています。
環境保護は大事だけどこのやり方はどうなのかなぁ
タイヤは傷つけずに空気を抜いてるみたいだよ
良い子のみんなは真似しないように……
References: The Tyre Extinguishers,BBC