2050年までに輸送エネルギーが31%増加、気候を脅かす「富裕層」の存在

自然
(VanveenJF/Unsplash)

英国リーズ大学の研究者グループは、世界86ヵ国の財政や消費エネルギーについて分析した結果、気候変動を引き起こす大きな要因の一つに「富裕層」の存在があると結論づけています。

高度に工業化された裕福な国と発展途上国とで消費されるお金の量の差は、気候変動の原因である温室効果ガスの排出量の差につながっています。

 

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富裕層は多くの輸送エネルギーを消費している

 

研究者はEUと世界銀行のデータを組み合わせ、様々な所得グループがどのようにお金を使っているのかを追跡しました。

その結果、最も裕福なグループである上位10%の人たちは、最も貧しい下位の10%の人たちの約20倍のエネルギーを消費していることがわかりました。

消費の差は特に輸送エネルギーで顕著であり、この分野においては、上位10%が下位10%の187倍の燃料を移動や輸送に費やしていました。

裕福な人が貧しい人よりも多くのエネルギーを消費するという傾向は、調査対象となった全ての国で一致していました。

研究者は「金持ちになればなるほどエネルギー消費が増える」と指摘し、大幅な政策変更がないかぎり、2050年のエネルギー消費は2011年レベルの2倍になる可能性があると警告しています。

 

Nature Energyに掲載された研究のプロジェクトリーダーである、リーズ大学のジュリア・スタインバーガー(Julia Steinberger)教授は、「気候と生態系を保護しながら誰もがまともな生活を送るためには、エネルギーの不平等な配分を変える必要がある」と述べます。

イギリスでは、全てのフライトの70%を15%の国民だけが利用しており、また人口の57%が飛行機を使って海外に行かない一方、超富裕層とよばれる金持ちは頻繁に飛行機を利用しています。

また家や車の大きさもエネルギー消費量と関連があり、全体の3分の1のエネルギーは裕福な上位10%の人たちだけで消費されています。

スタインバーガー教授は、政府がより良い公共交通機関をつくることや、飛行機に頻繁に乗る人への課税および大きな車両への規制などによって、輸送で生じるエネルギー消費量を減らすことができると指摘しています。

 

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分析によるとイギリスの低所得者層であっても、インドの所得下位10億人の5倍以上のエネルギーを消費しています。

エネルギー消費の不平等は、今後、各国の気候変動対策の交渉に影響を与える可能性があります。

現在の状態がそのまま続いた場合、2050年までに輸送に関するエネルギー消費は世界で31%増加すると試算されています。

研究者は、「輸送が化石燃料に依存し続けるならば、それは気候にとって悲惨な結果を招くだろう」と警告しています。

 

 

 


 

 

せつな
せつな

飛行機が出す温室効果ガスは結構な量だとか……

しぐれ
しぐれ

化石燃料に代わるエネルギーが必要になってくるね

 

References: BBC