英国と米国の研究者は、紙のリサイクルをしても、方法によっては温室効果ガスの削減につながらないことを明らかにしています。
気候変動により地球が温暖化していくなか、多くの分野でリサイクルが取り入れられるようになっています。
しかしリサイクルにもエネルギーが必要です。
リサイクルの方法を誤れば、温暖化はさらに加速する可能性があります。
紙のリサイクルに使われるエネルギーはエコではない
英国ユニバーサル・カレッジ・ロンドンと米国イェール大学の研究者は、紙のリサイクル時に発生する温室効果ガスの量を分析した結果、「現行の方法を続けた場合、排出量はほとんど削減されない」と報告しています。
新しい紙は木から分離されたパルプによって作られます。
このプロセスでは「黒液」と呼ばれる液体が副産物として発生します。
黒液は燃焼させることができるため、紙を製造する際のエネルギー源の一つとして再利用されます。
一方で紙のリサイクルには黒液が発生せず、そのプロセスは全て化石燃料や電力に依存しています。
リサイクルによって発生する二酸化炭素を少なくするためには、これらのエネルギーの使用を抑える必要があります。
研究者は、リサイクル時に使用されるエネルギーによって温室効果ガスの排出量に違いが出るかを調べるため、コンピューターモデルを使ったシミュレーションを行いました。
その結果、再生可能エネルギーを使用しない場合、2050年の排出量は、2012年のレベル(年間のCO2排出量721トン)よりもさらに10%以上増加することがわかりました。
一方で、再生可能エネルギーの使用や施設の近代化を行った場合、排出量は最大で96%削減されました。
これらは、リサイクルによって排出される温室効果ガスの量が、使われるエネルギーの種類に大きく左右されることを表しています。
Nature Sustainabilityに掲載された研究の著者の一人である、ユニバーサル・カレッジ・ロンドンのStijn van Ewijk博士は、「私たちの研究は、リサイクルが気候変動に対処するための保証された方法ではないことを示している」と説明し、紙のリサイクルについて、「再生可能エネルギーを使わない限り、役に立たないかもしれない」と述べています。
2012年のデータによると、紙の製造と廃棄で発生する温室効果ガスの量は、全ての産業の1.3%を占めます。
しかしこの割合は、リサイクルの推進と脱プラスチックの世界的な動きによってさらに高まると予想されています。
研究者は、「リサイクルの効果は材料や地域によってかなり異なる可能性があるが、再生可能エネルギーを使わなければ、結果的に排出量はほとんど変化しない」と述べています。
金属のリサイクルはCO2削減に効果的みたいだよ
リサイクルに使われるエネルギーもエコにしなければ意味がないということだな
Reference: University College London