EUの地球観測プログラム「コペルニクス」の気象観測衛星「Sentinel-5P」のデータは、2020年の南極のオゾンホールが例年になく広がっていることを明らかにしています。
南極のオゾンホールの大きさは定期的に変動しており、2019年は1980年代以降で最少のレベルを記録しています。
穴は通常8月から10月にかけて大きくなり、その後、南半球の成層圏の気温が上昇するにつれ縮小し、12月末には正常レベルに戻ります。
オゾンホールの急速な拡大は、フロンなどの化学物質を引き続き監視していく必要性を浮き彫りにしています。
Measurements from the @CopernicusEU #Sentinel5P satellite show that this year’s #ozone hole over the #Antarctic is one of the largest and deepest in recent years 👉 https://t.co/yKLd2nQCIX pic.twitter.com/0aAPfcxXrY
— ESA (@esa) October 20, 2020
2020年の南極のオゾンホールの面積は、10月2日に2500万平方キロメートルに達しました。
この大きさは、近年では、2018年と2015年に匹敵するものです。
(2018年は2290万平方キロメートル、2015年は2560万平方キロメートル)
Sentinel-5Pの観測データを分析したドイツ航空宇宙センターのディエゴ・ロヨラ氏は、「2020年のオゾンホールは8月中旬から急速に成長し、南極大陸のほとんどを覆っている」と述べ、その大きさについて、「過去の平均を遥かに上回るものだ」と説明しています。
今年のオゾンホールは広いだけでなく深くなっています。
オゾンの量を表すドブソン単位は、10月1日に、これまでの最低値となる95を記録しました。
この数値は、太陽からの有害な紫外線を吸収するオゾン層の能力が低下していることを表しています。
ヨーロッパ中期予報センターのヴァンサン-アンリ・プシュ氏は、「2020年のオゾンホールは過去15年で最も大きなレベルである」と述べ、「これは、モントリオール議定書を引き続き施行していく必要があることを示している」と付け加えています。
モントリオール議定書は、オゾン層を破壊するおそれのあるフロンなどの使用を禁止した国際的な取り決めで、1987年に採択されました。
南極のオゾン層は、モントリオール議定書が定められた後、確実に回復の兆しを見せています。
科学者はオゾンの濃度について、現在の規制が続いた場合、2050年頃には1980年代のレベルに回復すると予測しています。

オゾンホールの大きさはその年の気候によってもかなり変動するみたいだよ

上空から南極がはっきり見えるのはちょっと不安になるね