日本でも度々やってくる“激辛ブーム”をけん引する食べ物の一つが、「唐辛子(チリ)」です。
最近ではより辛いものを生産するべく、世界各国の農家がこぞって新製品の開発に躍起になっています。
ブームというものはとかく何者かによって作られるものですが、少なくとも唐辛子を食べることは、流行りに乗っかるだけでなく健康にも利点があります。
最近発表された大規模な調査は、唐辛子をよく食べる人はそうでない人に比べ、心臓発作や脳卒中のリスクが減少することを明らかにしています。
唐辛子を食事に加えるだけで健康的に――しかしその効果には疑問の声も
「Journal of the American College of Cardiology」に掲載された研究では、イタリアの22,811人の男女を対象に唐辛子が健康に及ぼす影響について調査しています。
参加者の健康状態と食習慣はおよそ8年にわたって記録され、日々の食事で唐辛子をどの程度摂取しているのかが追跡されました。
参加者は一週間の唐辛子の摂取量を、「まったく食べない」「最大2回まで」「2~4回」「4回以上」の4つの中から答えました。
追跡期間中に亡くなった人は1,236人でした。
調査終了後データを集計した結果、週に4回以上唐辛子を食べている人は心臓発作で死亡する割合が40%低下し、また脳卒中での死亡割合も50%以上低下していることがわかりました。
研究著者は「興味深い事実は、心臓発作による死亡リスクからの保護と、彼らの食事の種類との間には関係がないことだ」と書いています。
これはどんな食事の種類――イタリアンや中華や日本食やその他――であっても、料理に唐辛子が入っているだけでリスクに対して効果的であることを示すものです。
研究著者は、現在世界中(特に中国とアメリカ)で唐辛子の様々な品種が栽培されていることを挙げ、唐辛子には人々の健康に良い効果をもたらす力があると結論づけています。
研究チームは今後、唐辛子がなぜ健康に良いのかについて、その生化学的なメカニズムを調査する予定です。
唐辛子を料理に使うだけで、心臓病や脳卒中の死亡リスクを減らせるというのは驚きですが、もちろんこの結果に懐疑的な人もいます。
英国アストンメディカルスクールの栄養士、デュアン・メラー氏は、イタリアで行われた今回の研究を興味深いとしながらも、唐辛子と健康上の利点との間には「因果関係はない」と話します。
メラー氏は、「唐辛子を使う人はハーブやスパイスも使うことが多く、また野菜や生鮮食品をたくさん食べる傾向がある」と述べ、食事全体の中で唐辛子がどのように使われていたのかが重要であると指摘しました。
野菜や魚などを中心とした食事に唐辛子が加わるのと、油や肉汁たっぷりの食事に唐辛子が加わるのとでは、健康への影響が異なってくるのは容易に想像できることです。
メラー氏は「唐辛子は私たちのレシピや食事のおいしい追加物になる可能性はあるが、直接的な影響は小さい」と付け加えています。
食品化学や健康に関する研究を行っている、英国の「Quadram Institute Bioscience」の栄養研究者イアン・ジョンソン氏は、今回の研究結果を、“堅牢な方法で行われた高品質の観察研究”であると称賛しています。
しかし特定の疾患に対する予防効果のメカニズムについては特定しておらず、また唐辛子をもっと食べることが、健康にさらなる利益をもたらすのかについても発見していないと指摘します。
ジョンソン氏は、唐辛子が持つ健康への利点は、その他の食事や、食べる人の生活習慣とも関わっている可能性があると話しています。

健康にいいって聞いたから唐辛子をいっぱい入れてみたよ~

辛すぎー!

うっ、ちょっとトイレに……
References: CNN