100年以上も前にアインシュタインの相対性理論によってその存在が指摘されていながらもこれまで確認することができなかったブラックホールがついに撮影されました。
これは各国の天文学者たちが共同で世界中の電波望遠鏡をネットワーク接続しブラックホールを探すプロジェクトである、EHT(Event Horizon Telescope)によって発見されたものです。
ブラックホールはM87とよばれる地球から5500万光年離れた銀河の中心にあります。
M87には元々超巨大なブラックホールの存在を示唆するような活動が観測されており、天文学者たちは今回のブラックホールの確認によりその理論を証明したことになります。
発表によるとブラックホールの質量は太陽の約65億倍だということです。
Scientists have obtained the first image of a black hole, using Event Horizon Telescope observations of the center of the galaxy M87. The image shows a bright ring formed as light bends in the intense gravity around a black hole that is 6.5 billion times more massive than the Sun pic.twitter.com/AymXilKhKe
— Event Horizon ‘Scope (@ehtelescope) 2019年4月10日
ブラックホールはその強力な重力により光さえ飲み込んでしまうため、実際には“見る”ことができません。
しかし周囲の物体がブラックホールに飲み込まれる際に放つ放射線エネルギーを観測することでブラックホールの輪郭を浮かび上がらせました。
今回の発見で得られたデータを分析することで、一般相対性理論の予測と実際とがどの程度一致しているのかについてさらなる詳細を得ることができます。
また宇宙物理学者が“宇宙ジェット”と呼ぶ、巨大ブラックホールから放出されるエネルギーのメカニズムについて新たな事実を提供するでしょう。
(宇宙ジェットは巨大な重力を持つ天体から一方向に放出されるプラズマなどのエネルギーのことで、その中心にはブラックホールがあると考えられています。宇宙ジェットはM87でも観測されていました)
EHTのディレクターでハーバード大学の天体物理学者であるSheperd Doeleman氏は、この画像が明るい銀河と超巨大ブラックホールとの明確な関係を示唆していると述べています。
天の川銀河や今回のM87のような明るい銀河の中心には超巨大なブラックホールが存在すると考えられてきたことから、今回の画像はそれを裏付ける結果となります。
EHTのプロジェクトは今後もM87からの詳細なデータを収集する一方、超巨大ブラックホールがあるとされる(私たちの銀河系にある)いて座A*についても観測する予定です。
宇宙の新たな側面の解明につながることを期待すると同時に、アインシュタインの凄さにただただ驚いてしまいますね。
References:EventHorizonTelescope