NASAは13日、将来の月面での活動や資源の利用に関する新たな取り決めである「アルテミス合意」に、8ヵ国が署名したと発表しています。
「アルテミス合意 (Artemis Accords)」は、人類を再び月に送る「アルテミス計画」の一環として定められた、宇宙利用に関する国際的なルールで、1967年に発効した宇宙条約をさらに強化した内容となっています。
合意に署名したのは、オーストラリア、カナダ、イタリア、日本、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカの8ヵ国で、参加国は今後さらに増えていく見通しです。
NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、「アルテミスは、歴史上最も広く多様で国際的な人々からなる宇宙探索プログラムである」と述べ、合意について、「全ての人類が、宇宙において安全、平和、そして豊かな未来を創造するための重要な原則である」と説明しています。
What a memorable moment! We are proud that with today’s #Artemis Accords signing, we are deepening our relationships with our partners & are establishing vital principles that will create a safe, peaceful, & prosperous future in space for all of humanity. pic.twitter.com/WpthvUJQy5
— NASA (@NASA) October 14, 2020
アルテミス合意には次の原則が含まれています。
・平和的な探査――アルテミス計画の下で行われる全ての活動は、平和的な目的のためでなければならない。
・透明性――混乱や衝突を避けるために透明性のある活動を行う。
・相互運用性――安全性と持続可能性を強化するために、相互運用可能なシステムをサポートするように努める。
・緊急支援――困窮しているパートナーに支援を提供する。
・オブジェクトの登録――宇宙にある運用中の物体について速やかに情報を登録する。
・科学データの公開――科学情報を公開し、全世界がアルテミスの旅に参加できるようにする。
・遺産の保護――宇宙遺産の保護に努める。
・宇宙資源――宇宙資源の採取と利用は宇宙条約に準拠して行われなければならない。
・衝突の回避――有害な干渉を防ぎ、宇宙条約で要求されている適切な配慮の原則を支持する。
・スペースデブリ――宇宙で出るごみを安全に処分する。
アルテミス合意に法的な拘束力はないものの、多数の国の参加は、近年宇宙開発に積極的に資金を投じている中国へのけん制につながる可能性があります。
アメリカは、宇宙開発の分野で中国と協力することを法律で禁止しています。
NASAのマイク・ゴールド氏は、「アルテミスは月への旅だが、アルテミス合意の目的地は、平和で繁栄した未来である」と述べています。
月の資源の取り合いにならないように決まり事を作っておくのはいいことだね
月に野心を抱いているのは中国だけじゃないからな。各国の今後の動きに注目だ
Reference: NASA