ヨーロッパとロシアの宇宙機関は、共同で進めている火星探査ミッション「ExoMars(エクソマーズ)」の新しい探査車の打ち上げ予定を、2020年から2022年に延期すると発表しました。
今年の7月から8月にかけて打ち上げを予定していた探査車「Rosalind Franklin(ロザリンド・フランクリン)」について、ロシアの宇宙機関、ロスコスモスの局長であるドミトリー・ロゴージン氏は、「打ち上げを2022年に延期するという難しい決定を下した」と述べ、その理由に、ExoMarsミッション全体の堅牢性を高める必要性を挙げました。
ロゴージン氏は、「延期は間違いなくプラスの結果をもたらすと確信している」と述べ、この決定がミッションを成功させるための必要なステップであることを強調しています。
ESA(欧州宇宙機関)のヨハン・ヴェルナー長官は打ち上げ延期の理由について、「あまり強調したくはない」と前置きしつつ、現在世界に蔓延している新型ウイルスを挙げ、「ミッションに関わっているロシアやイタリア、フランスなどの人々がこれまでのように自由に動けなくなっていることも、延期に影響を与えた要因の一つである」と述べました。
ESA and @roscosmos are postponing the launch of the second #ExoMars mission in order to complete all tests necessary for mission success. The new schedule foresees a launch between August and October 2022 👉 https://t.co/so9CrcAc8a pic.twitter.com/o1y5OPRoJ6
— ESA (@esa) March 12, 2020
ExoMarsの専門家チームは、「欧州およびロシアの検査官が提供する推奨事項を十分に考慮した結果、火星の探検に適した宇宙船の作成にはより多くの時間が必要である」としています。
ExoMarsは火星で生命の痕跡を探すことを目的としたミッションで、現在はESAとロシアが共同で管理しています。
火星との距離の関係から今年の打ち上げを逃した場合、次に機会がやってくるのは2022年の8月から10月になります。
スケジュールの変更は宇宙計画にとってさらなるコストの増大を意味します。
ロザリンド・フランクリンが搭載しているドリルやサンプルを分析する機器などは、生命の痕跡を発見するという目的のために、現在まで最高レベルの清浄度で管理されてきました。
2年の打ち上げ延期は、清浄度を維持するための追加のコストを発生させます。
また昨年の12月には、火星突入の際に使われるパラシュートの実験がうまくいかなかったため、ESAはNASAに協力を求めています。
ESAの関係者はBBCに対し、「我々には予算があり、不測の事態に対応できる」としながらも、追加のコストに関しては、業界と交渉を行う必要があると説明しています。
ExoMarsは過去十数年の間に何度も計画の変更を余儀なくされており、その度にコストの増大に悩まされてきました。
今回の打ち上げ延期は世界の情勢が絡んだやむをえない側面があるものの、2年という延期期間がもたらす追加のコストは、ESAとロシアにとって決して安いものではありません。
2年も延期となると資金の調達が大変になるだろうな
宇宙開発はお金がかかるんだねー
References: BBC