ESAの火星探査車「フェッチ・ローバー」 NASAのパーサヴィアランスを補佐する役割

宇宙
(Image Credit: Airbus)

ESA(欧州宇宙機関)は、2022年の打ち上げが予定されている「ロザリンド・フランクリン」に続く、次の火星探査車を急ピッチで製作しています。

新しい探査車は「フェッチ・ローバー (Fetch Rover)」という名前で、NASAが2020年7月に打ち上げる火星探査車「パーサヴィアランス」を補佐する役割を持っています。

パーサヴィアランスには、科学的に興味深い岩石を掘削し、土壌サンプルを収集するという目的があります。

一方フェッチ・ローバーには、“取ってくる(Fetch)”という名前が示す通り、パーサヴィアランスが収集したサンプルを各地で回収し、それを着陸船に持ち帰るという任務があります。

 

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パーサヴィアランスを補佐するフェッチ・ローバー

 

ESAとNASAはフェッチ・ローバーを2026年に火星に向かわせたい考えですが、計画を確実に実行するにはスケジュールがタイトです。

そのためフェッチ・ローバーは、通常行われる民間企業の選考過程を経ずに、ロザリンド・フランクリンを製作したフランスのエアバス社が設計を担当しています。

 

フェッチ・ローバーは伝統的な火星探査車とは違い、車輪が4つしかありません。

これは重量を減らし構造をシンプルにするだけでなく、ローバーにスピードと機動性を与えるためです。

フェッチ・ローバーのプロジェクト責任者であるエアバス社のベン・ボイズ氏は、「ロザリンド・フランクリンのホイールの直径が約25cmであるのに対し、フェッチのホイールは70cmある」と述べ、その差は2つの車両の任務の違いによるものだと説明しています。

 

FIAT 500とほぼ同じ大きさのフェッチ・ローバー (Image Credit: Airbus)

 

プロジェクトチームはこの230kgの車両を、火星における“スピードスター”のように位置づけています。

フェッチ・ローバーは、でこぼこの火星の地表を一日に数百メートル移動しながら、パーサヴィアランスの残したサンプルを次々に回収します。

車両には、サンプルを識別する視覚認識システム、サンプルを掴んで回収するロボットアーム、そして車両のバランスを保ち安全な移動を可能にする自立ナビゲーションシステムが搭載されています。

チームは今後フィールド実験を繰り返し、車両の性能をテストする予定です。

ボイズ氏はテストについて、「100メートルを走行し、周囲を見回し、サンプルを見つけ、それをピックアップする」と述べています。

 

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現在行われているフェッチ・ローバーの開発フェーズは2021年まで続きます。

ESAは2022年の11月までの資金提供を既に承認していますが、それ以降のスケジュールについては今のところ不透明です。

開発が順調に進めばローバーは2025年には完成し、アメリカで着陸船とともに火星に向かう準備に入ります。

 


 

 

ふうか
ふうか

回収したサンプルは着陸船がロケットを使って地球に送り返すそうだ

せつな
せつな

火星の土にはどんな秘密が隠されてるんだろう……

 

References: BBC,Airbus