NASAの探査機ニューホライズンズが、人工物では5機目となる、太陽から50天文単位の地点に到達しました。
2006年に打ち上げられたニューホライズンズは2007年に木星をフライバイした後、2015年に目的地である冥王星に到達し、様々な科学データを収集しました。
その後探査機は、天体が密集した地域エッジワース・カイパーベルトに向かい、2019年1月1日に、太陽系外縁天体「アロコス (旧名ウルティマ・トゥーレ)」に最接近しました。
NASAによるとニューホライズンズは、日本時間2021年4月18日の21時42分に、太陽から50天文単位(約75億キロメートル)の地点を通過します。
※天文単位(AU)は、太陽から地球までの距離を1としたもので、1AUは約1億5000万キロメートルになります。
過去に50AU地点を越えたことのある人工物は、パイオニア10号と11号、およびボイジャー1号と2号のみであり、ニューホライズンズは5機目となります。
50AU地点に到達した5機の探査機 (Credits: NASA/Johns Hopkins APL/Southwest Research Institute)
これまでの飛行距離について、ニューホライズンズのミッション運用マネージャーであるアリス・ボウマン氏は、「これほど遠くにあるものを想像するのは難しいですが、指示を送り地球で結果を受け取るまでに14時間かかるということが、極めて遠い距離を現実的なものとしています」と述べています。
ニューホライズンズは昨年、先に50AU地点を突破した“大先輩”、ボイジャー1号を撮影し、その画像を地球に送り返しています。
1977年9月に打ち上げられたボイジャー1号は、木星と土星を観測後、太陽系の外に向かって飛行を続けており、2012年に初めて、太陽風の届かない地点であるヘリオポーズに到達しました。
丸で囲まれた部分がボイジャー1号の方向。1兆分の1という明るさのため視認することはできない (Credits: NASA/Johns Hopkins APL/Southwest Research Institute)
ボイジャー1号は上の画像の丸で囲まれた方向を飛んでいますが、撮影が行われた2020年12月25日時点で、太陽から約229億キロメートル(152AU)、ニューホライズンズから約180億キロメートル離れているため、視認することはできません。
周囲の明るい点のほとんどは星で、ぼんやり写っているものの一部は、遠くの銀河です。
ニューホライズンズの状態は良好で、現在ミッションチームは次の観測対象を決めるため、日本のすばる望遠鏡などを使って候補を選定しています。
2021年の夏には、科学的能力を高めるためのアップグレードコマンドが送られます。
ニューホライズンズは2030年代後半まで活動した後、2040年代には二つのボイジャー機と同様、星間空間に到達します。
光の速さで片道7時間なんて想像もつかない遠さだね
住宅地でイメージすると、火星が隣の家で冥王星が33件隣の家、50AUは50件隣の家になるそうだ
Reference: NASA