建造から60周年を迎えた「パークス天文台」 商業月輸送サービスを行う民間企業との提携を発表

宇宙
(Credit: CSIRO)

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、建造から60周年を迎える「パークス天文台」の運用について、新たにアメリカの民間宇宙企業Intuitive Machinesと、5年間の契約を結んだと発表しました。

1961年に完成したパークス天文台は、口径64メートルの巨大アンテナ、通称「ディッシュ (皿)」を有する電波天文台で、アポロ11号の月面着陸の様子を世界に中継したことで広く知られています。

また、遠い距離の輝く天体であるクエーサーやパルサーなどを数多く発見し、近年では、地球外からやってくる人工的な信号を探す「ブレイクスルー・リッスン」プロジェクトにも関わっています。

 

 

Intuitive Machinesは、月面への物資の輸送業務を民間に委託する、NASAの「商業月輸送サービス (CLPS-Commercial Lunar Payload Services)」の選定を受けた企業で、今年後半にも月への輸送ミッションを行います。

パークス天文台は、宇宙船との通信やデータ中継などの面でIntuitive Machinesを支援します。

今回の提携について、CSIROのCEOであるラリー・マーシャル氏は、「このパートナーシップは、象徴的なアンテナにとってエキサイティングな新章です。月面に向かう最新のイノベーションをサポートできることを誇りに思います」と述べています。

また、Intuitive Machinesのコントロールセンター担当バイスプレジデントであるトロイ・ルブラン氏は、「ミッションの追跡とデータのダウンロードには、パークス天文台チームの技術サポートと専門知識が必要です。これらの任務は、人類を月へと戻すアルテミス計画を持続可能なものにするでしょう」と述べています。

 

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輸送の全てに責任を負っているCLPSの企業は、NASAの宇宙ミッションを妨げずにサービスを運用しなければなりません。

これは、現在火星探査などで忙しい状態にあるNASAのディープスペースネットワークを、宇宙船の追跡やデータ通信のために利用できないことを意味します。

Intuitive Machinesにとって今回の提携は、月に物資を運ぶために不可欠なものです。

 

パークス天文台のアンテナは、キャンベラにある口径70メートルのアンテナ「DSS43」に次ぐ大きさで、月面からの膨大なデータを効率よくダウンロードするのに適しています。

また建造から半世紀以上たった現在でも適切な管理が行われており、現代の宇宙ミッションに対しても十分な能力を発揮できます。

パークス天文台の科学者であるジョン・サーキシアン氏は、アンテナの現在の状態について、「望遠鏡は60年前のものですが、多くの点で非常に若いと言えます。何年にもわたって継続的にアップグレードされており、その感度は製造時の1万倍以上になっています」と説明しています。

 

パークス天文台は、星間空間に入ったボイジャー2号と通信できるDSS43のサポートも行っています。

 


 

 

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References: CSIRO,ABC News