火星でワインを飲みたい!ワインの発祥地ジョージアで進められている基礎研究

宇宙

近い将来火星に移住することになったとしたら、どうしても考えなくてはならないものが食事です。

地質も気候もまだほとんどわかっていないため、どんな作物が育つのか、また肥料は何がいいのかなど地球上でテストを繰り返さなければなりません。

いざ持っていったものがまるで芽を出さないなんてことになったら飢え死には免れません。

 

現在ワイン発祥の地として知られるジョージア(グルジア)では火星でワインをつくるためのブドウを育てる試みが始まっています。

ワインの歴史がいつ、そしてどこで始まったのかについてはいくつかの国の間で論争があります。

ジョージアはワイン発祥国のプライドをかけて、地球以外でのワイン栽培にいち早く着手しようという思いがあります。

 

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ジョージアのブドウを使ったワインを火星で

 

 

ジョージアは古くからブドウの栽培で有名な土地でした。

最近では紀元前6,000年にまでさかのぼるワインで染められた鍋が発見されています。(ジョージアはこの事実を元にワイン発祥の地について正当性を主張しています)

現在ジョージアの宇宙研究機関と首都トビリシにあるビジネステクノロジー大学は共同で、火星での栽培に向いたブドウの品種に関する研究を行っています。

 

IX Millennium」と名付けられたプロジェクトでは、火星に農業基盤を築くための基礎的な研究が行われています。

研究には火星での過酷な放射線、地表を舞う嵐、そして激しい気候変動に耐えうるブドウ品種を特定することが含まれています。

そしてこの調査は、スペースX社のイーロン・マスク氏が掲げる2024年までの火星への有人飛行に間に合わせることが目標になっています。

 

プロジェクトの顧問であるNikoloz Doborjginidze氏は、ジョージアが火星での生活を助けるために貢献する必要があると話します。

 

私たちの祖先は地球にワインをもたらしました。今度は私たちが火星にワインをもたらすときです。

 

研究ではトビリシにあるホテルの中の一室を使い、床から天井まで伸びた容器の中に種子を入れて水耕栽培をします。

これは宇宙船の中での栽培や、火星の管理された環境での農業をシミュレートするためのものです。

この方法で用いられる種子のために、研究者たちは様々な品種を検討しています。

実験室では火星環境を再現するために、氷点下の状態にしたり、一酸化炭素レベルを上げたり、空気を薄くしたりした場合の反応などを事細かにチェックします。

 

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こうした火星での食材の研究は、ジョージアだけで行われているわけではありません。

NASAのチームはペルーの科学者と共同で、火星環境をシミュレートした土壌でのジャガイモの栽培に成功しています。

また国際宇宙ステーションではすでにサラダが栽培されており、今後はトマトやトウガラシの栽培も始める予定です。

 

 

NASAの食料生産プロジェクトマネージャーであるRalph Fritsche氏は、宇宙での食料はこれまでのところカロリーに重点を置いて開発されてきたと語ります。

 

しかしFritsche氏は、NASAがただカロリーだけに注目しているわけではないと述べます。

 

私たちは乗組員の健康だけでなく幸せについても考えています。彼らはあらゆる意味で生き残る必要があります。将来的にはそこにアルコールという項目が加わることもあるかもしれません。

 

2017年にはビール会社大手のバドワイザーが、火星のような重力環境での大麦栽培のために種子を宇宙ステーションに送っています。

 

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宇宙船の中でも栽培できるジョージアのブドウ

 

ジョージアのブドウ園研究所所長であるLevan Ujmajuridze氏の元では、ジョージアで栽培されている500種類以上のブドウの品種が植えられています。

Ujmajuridze氏は白いブドウのほうがより太陽光を反射するので、放射線の飛び交う宇宙空間でもうまく育つ可能性があると話します。

中でも有力な候補の一つであるRkatsiteliという品種は、強い酸性を持ちとても丈夫であることがわかっています。

ビジネステクノロジー大学の学生たちは、Rkatsiteliの頑丈な肌が火星での過酷な環境に耐えられるものと期待しています。

 

Grapes of Rkatsiteli Credit:Mikheil88,Wikimedia Commons

 

現在Ujmajuridze氏のチームは、失われた品種を復活させるために遺伝子プールを修復しています。

その中からさらに強い品種が見つかれば、将来火星で栽培される可能性があります。

 

IX MillenniumのプロジェクトマネージャーであるAna Lomtadze氏は、ジョージアの歴史あるブドウが未来の一部になるかもしれないと語ります。

 

私たちの最終目標は火星を植民地化することですが、この仕事は地球に戻ってくるときにも役立つことでしょう。

 

火星までの距離を考えると、人間を乗せた宇宙船が火星に到達するには(現在の技術では)一年以上がかかります。

その間宇宙船の中で植物を栽培するということは十分に考えられます。

また地球に戻ってくることも考慮するならば、過酷な環境化でのブドウ栽培の研究が将来役に立つのは間違いないでしょう。

 

 

References:livescience,washingtonpost