エジプトのミイラは種類が豊富!猫やワニ、羊やフンコロガシまで!

歴史

先日エジプトのカイロ南方にあるサッカラで、大量の猫のミイラや盗掘されていない墓が発見されました。

 

今年の4月から始まった発掘調査で第5王朝と第6王朝時代(およそ紀元前2500年~紀元前2200年頃)の墓が7つ発見され、そのうちの3つで猫のミイラやスカラベのミイラが発見されました。

 

スカラベは装飾の施されたサルコファガス(棺を入れるための石棺)の中に、リネンに包まれた状態で保管されていました。スカラベは古代エジプトでは聖なる虫として崇拝の対象になっていましたが、今回のようなミイラでの発見は大変珍しく、考古学者を興奮させています。

 

 

エジプトでのミイラと言えばツタンカーメンがまず思い浮かびますが、ミイラは何も人間だけに施された技術ではありませんでした。

 

古代エジプトにおける信仰の対象と身近な動物たち、そして様々な種類のミイラ――その歴史を少し探索してみます。

 

スカラベ――別名フンコロガシとも

 

 


 

 

かなで
かなで

ねぇねぇ!この虫面白いよー!逆立ちしてるみたい!

しぐれ
しぐれ

わー!ホントだね~♪この泥団子をどこに運んでくのかなぁ?

せつな
せつな

それは泥団子じゃなくて――ウン……いやここは黙っておいたほうが面白いか

 

 

エジプトの来世信仰とミイラ、そして猫について

 

エジプトのミイラは今から5000年以上前からすでに存在していました。

エジプトには様々な神がいますが、その中でもアヌビスはミイラの神として知られていました。

 

なぜアヌビスがミイラの神になったのでしょうか。それは自らの父であるオシリスの死が関係していました。

 

オシリスとイシスの伝説

 

エジプトの神話では、太陽神ラーから王位を譲られたオシリスは、自分の弟であるセトから妬まれ最終的には殺されてしまいます。

しかしオシリスの妹であり妻でもあるイシスや、もう一人の妹であるネフティスとの間にできたアヌビスなどの協力により、オシリスはミイラとして復活することになります。

オシリスはセトによって体をばらばらにされてしまいますが見事ミイラの技術で復活し、息子のホルスに王位を譲り、自身は冥界の王となります。

 

神話ですので物語性や脚色などで誇張されていますが、このアヌビス神の存在が、古代エジプトにとってミイラ作りが発展した要因であることは間違いありません。

 

アヌビス神:Jeff Dahl,2007

 

アヌビス神は犬やジャッカルの頭をもった半獣半神で、犬やジャッカルが墓の周りを周回している姿を見たエジプト人が死者を守ってくれていると解釈したことから、このような姿になったとされています。

 

エジプトは乾燥地帯が多いため、ミイラを作る条件が初めから揃っていました。ミイラは遺体が腐敗するよりも先に極度の乾燥によって細菌の活動が弱まることが必須条件の一つになります。

乾燥した砂漠地帯に死者を埋葬した古代エジプト人は、墓参りの際に干からびた故人を見て複雑な気持ちを抱きました。

その、まるで眠っているかのような表情に一つの考えが浮かびます――人は死んだ後も別の世界で生き続けるのではないか。

この来世における希望や肉体の復活への信仰と、古来の神話とが密接に関わりあってミイラ作りのシステムが出来上がりました。

 

最初は王――それから庶民へと

 

オシリスやアヌビスなどの神話が体系化されていくにつれ、今度は実際に自分が死んだ後に蘇るための方法が模索されていきます。

まずその栄誉を受けたのはエジプトの王――すなわちファラオたちでした。

 

エジプトの王は上に述べたホルス神の生まれ変わりであり、地上における統率者でした。

ホルスの父であるオシリスは冥界の王になりましたが、人は死後にここに送られることになっていました。そしてその前には審判があり、それをアヌビスが司っていました。日本における閻魔様のような役割ですね。

 

アヌビス神の審判はラーの秤というもので、真理の女神マアトの羽と死者の心臓を秤にのせて、心臓が羽よりも軽ければオシリスの支配する死後の楽園アアルに行くことができ、そうでない場合は幻獣アメミットに心臓を食われ二度と転生できなくなる、というものでした。

 

王は自分がアメミットに心臓を食われるなどとは露ほども思っていないので、来世で復活し再びホルスの代理として国を治めなければなりません。

王は即位後すぐに墓の建造をはじめ、死後はミイラとなって埋葬されるようになります。

王の墓はピラミッドだったり、時代が下ると人目につきにくい谷などに建設されるようになりますが、時代が進むににつれて、庶民にも来世での希望を抱く者があらわれてきます。

そしてミイラ作りの技術が発達するにつれて、次第に王や貴族だけの儀式という限定的な区分から、もっと大きなエジプト人全体の死生観にミイラというものが入り込んでいきます。

 

死後というのは古代エジプト人にとって、生の延長にあるもう一つの世界でした。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

えーと、死んだ後も生きるってことは、つまり死んでないってことなのかな?

せつな
せつな

あの世、みたいな感じ。でもミイラ作りにかけるお金によってミイラの出来不出来があったみたい。……所詮あの世も金次第……

かなで
かなで

かなではアメミットさんと仲良くなっちゃうから大丈夫だよー♪

 

 


 

庶民の間でミイラになろうとする人が増えることで、専門職も生まれるようになります。

 

ミイラの技術はどれだけのお金を費やすかでその水準が変わり、これまで発掘された墓地のミイラには、保存状態の良いものもあれば部分的にだけ形が残っているものなどもあり、その出来は千差万別なようです。

 

猫をペットにしたのはエジプトが最初

 

リビアヤマネコ:Vassil,2013

 

今では世界中で愛されているといってもいい存在である猫ちゃんたち。

その猫たちはそもそもが野生のものでしたが、あることがきっかけで人間社会と密接にかかわるようになります。

 

それは人間の食料をネズミから守るためのハンターとしての役割を担うようになったことです。

 

リビアヤマネコは、現在ペットとして飼われている猫の祖先であるイエネコの起源であり、古代エジプト人が家畜化したことがきっかけで全世界に広がっていきました。古代エジプトでの主食はパンでした。原料となる小麦を保管しておく場所には必ずそれを餌とするネズミや虫が発生します。そこに野生のヤマネコがやってくれば……あとはもう想像の通りですね。

 


 

 

かなで
かなで

わかったー!一緒にネズミさんと食事をするんだね!

しぐれ
しぐれ

それか追いかけっこして遊ぶとかかな?

せつな
せつな

……いやさすがにその答えはどうなんだ

 

 


 

リビアヤマネコはネズミと仲良く遊んだ……のではなくネズミを捕らえることでエジプト人に好印象を与えたのでした。

 

自分たちの食料をネズミの害から守ってくれるこの動物は、もしかしたら神からの使いなのでは?……信心深い古代エジプト人がそう考えるのはごく自然のなりゆきでした。

 

バステト神:Gunawan Kartapranata,2012

 

上の図の神様はバステトという猫の女神です。

初めはライオンの姿をしていたのですが時代が下るにつれて猫の姿に変わっていきました。

バステトは豊穣や多産の神として親しまれていたので、そのイメージに合う身近な動物として猫の姿になったのだと思われます。ライオンの頭はほかの攻撃的な力を持つ神のものになっていきました。

 

エジプト人の生活の中に猫という存在が密接に関わり、それが信仰の対象にまでなっていることに驚かされます――そしていつの時代も人間をメロメロにしてしまう猫ちゃんの魅力にはもう降参するしかありませんね。

 

エジプトの神はいろんな動物の姿をしていた

 

猫がどのようにしてエジプト人に気に入られ神様として崇められるようになったのかはわかりました。

 

ではフンコロガシはどうなのでしょう。

調べてみるとエジプトの神々は様々な動物の姿をしていることがわかりました。

 

ケプリ神:Jeff Dahl,2007

 

見た目からしてインパクト大のこの神様はケプリといって、まんまフンコロガシの化身です。

フンコロガシは、獣の糞を集めて後ろ足で転がしそれを段々と大きくしていきます。

それを見た古代エジプト人はまず太陽を連想しました。そしてその大きな球の中からフンコロガシの卵が孵るのを見て生命の創造を感じます。

 

何もない地面からいつの間にか泥の球を作ってしまうその姿にエジプト人はさぞ驚いたことでしょう。

 

エジプト人にとって太陽は創造の原点であり絶対的な存在でした。太陽神ラーは神話において人間の創造主であり、歴代の王「ファラオ」はラーの息子と称されました。その太陽神と同等といってもいいくらいのケプリ神は、太陽と生命の生まれ変わりを司るものとして、棺の中に――スカラベの護符の形となって――納められるようになります。

 

セベク神:Jeff Dahl,2008

 

こちらの神はワニの化身であるセベク神

エジプトの生活はナイル川に依存していたため、そこに住んでいる狂暴で力強い存在であるワニを神格化しました。

軍神として知られており、何人かのファラオは自分の名前にセベクの名を入れたほどでした。

 

クヌム神:Jeff Dahl,2008

 

セベク神の上司といってもいいこちらの羊の姿をしたのがクヌム神

ナイル川の氾濫や人類の創造を司る古い神様として知られています。

 

ナイル川の洪水の起点となる地域、エレファンティネ(現在のアスワン)で信仰されていたことがきっかけでナイル川の神とされています。羊というと温和なイメージがありますが、このクヌム神はかなり厳格で仕事をきっちりこなすイメージがありますね……。

 


 

 

かなで
かなで

いろんな神様がいて面白いねー!かなでもド〇キで買った被り物して神様になろっかなー!

せつな
せつな

……なんの神様なんだ

 

 


 

こうして見ていくと当時の人々の想像力のたくましさと、自然や動物たちが生活や信仰と一体になっていたのがよくわかりますね。

 

来世は猫とフンコロガシと共に

 

 

それまで護符として棺に入れられていたスカラベが、ミイラとして残っていたということが今回の発掘での大きな話題でした。

 

しかし古代エジプト人の動物や自然に対する考え方、また神話を元にした死生観などを考えると、彼らにとっては案外普通の出来事だったのではないでしょうか。

それよりも自分一人をミイラにして来世で生き返るのではなく、身近な動物たちと一緒に暮らしたいと思ったことのほうが、なんだか親近感がわいてきます。

 

彼らの信じた死後の世界があったのかは彼らにしかわかりえないことです。

でも5000年以上昔の人も、今を生きる私たちも根本的にはそれほど変わったところはないのかもしれません。

 

いつまでも愛する人と一緒にいたい、ペットと一緒に暮らしたい、向こうでお腹がすかないように食料もちゃんと用意しておこう……古代エジプト人にとってミイラになるということは、それほど深刻なことなどではなく、むしろ希望だったのではないか、そんな感じがします。

 

もし飼っているペットのことを最近構ってないなぁと思った方は、少しだけでも触れてあげて下さい。きっとその子もあなたの気持ちに応えてくれるはずですから。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

えいっ!泥団子攻撃~!

かなで
かなで

うー!かなでもやるー!

せつな
せつな

え?だからそれはウン……ちょ、ちょっと待っ――

しぐれ
しぐれ

逃げちゃだめだよー♪

かなで
かなで

わーい♪面白ーい♪

せつな
せつな

なんで私がこんな目に遭わなければならないんだー!

 

 


 

それではエジプトのミイラの種類と最近の発掘調査についての報告でした。

読んでいただきありがとうございました!

 

 

参照:CNN,Wikipedia

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