絶滅寸前のグアムのカワセミ「ズアカショウビン」 再導入に向けた取り組み

動物
(Smithsonian’s National Zoo & Conservation Biology Institute)

かつてグアムに生息していたカワセミ「ズアカショウビン (Guam Kingfisher)」を、野生の環境に戻そうと、イギリスの動物園がヒナの飼育に取り組んでいます。

ズアカショウビンは体長22センチほどの中型のカワセミで、緑がかった青とブラウンの毛色が特徴的な美しい鳥です。

この鳥は、第二次世界大戦以降、航空機や船舶の荷物に紛れグアムに侵入したヘビ、「ミナミオオガシラ」によって絶滅に追い込まれました。

ミナミオオガシラは、オーストラリア北部、インドネシア東部、パプアニューギニアなどを原産とする樹上性のヘビで、グアムにはほとんど天敵がいませんでした。

その結果、ズアカショウビンを始めとするグアム固有の鳥のほとんどが捕食されました。

 

ズアカショウビンの野生の個体は、1988年を最後に目撃されていません。

しかし絶滅の寸前に少数が捕獲されており、現在これらの子孫が、アメリカとグアムの繁殖施設で血をつないでいます。

 

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ズアカショウビンを天敵のいない島へ

 

グアムの在来種に壊滅的な被害を与えたミナミオオガシラ (Brown tree snake/Pavel Kirillov)

 

イギリスのウィップスネード動物園とロンドン動物学会のスタッフは、ズアカショウビンをグアムに再導入させようと、懸命にヒナを育てています。

ズアカショウビンの野生の個体は、グアムで捕獲された後、アメリカの繁殖施設に送られました。

それ以降、全国の動物園が、卵からヒナを育てるという難しい仕事に取り組み、ズアカショウビンの数は、現時点で140羽ほどにまで増えました。

ウィップスネード動物園も、アメリカから運ばれてきた卵を管理しており、既に4羽が孵っています。

卵を孵化させる仕事に従事しているクレア・マクスウィーニー氏は、「卵がビー玉ほどの大きさしかないことを考えると非常に厄介な仕事ですが、私たちは成功しつつあります。来年までには、9羽ほどのヒナが野生に戻る準備を整えているはずです。彼らが病気にならないよう、24時間体制で監視しています」と述べています。

 

各地で育てられたズアカショウビンは、米国カンザス州セジウィックにある施設に集められた後、再導入の目的地へと輸送されます。

しかし鳥たちは、すぐにグアムに帰れるわけではありません。

なぜならグアムには、未だ200万匹以上のミナミオオガシラが生息しているからです。

そのためまずは、グアムから東に6000キロ離れたパルミラ環礁で再導入が行われます。

ここにはズアカショウビンの営巣地となる熱帯雨林と食べ物が豊富にあり、天敵も存在しません。

ロンドン動物学会の生物学者で、鳥類回復チームの一員であるジョン・イーウェン氏は、「この鳥がパルミラで繁栄し、そこで繁殖個体群になることを期待しています。その後ヘビの問題が解決されれば、グアムに野生の個体が送られることになるでしょう」と述べています。

 

ズアカショウビンの再導入は来年に予定されています。

 

 

 


 

 

かなで
かなで

ズアカショウビンのヒナを人の手で育てるのはかなり難しいんだって

しぐれ
しぐれ

グアムにはまだ戻れないけど再導入が成功するといいね

 

Reference: The Guardian