人類と動物はみんな兄弟みたいなもので、それは南米に住んでいるリャマさんとて例外ではありません。
昔から人間と一緒に暮らしてきたリャマには知られていない意外な側面がいくつもあります。
とぼけた顔とは裏腹にあちらこちらで大活躍するリャマさんの雄姿を見てみましょう。
リャマについて
Image Credit:Llama en La Paz de Bolivia, deciembre de 2001. foto por usario Inti-sol simismo
南米アンデス地方に住むラクダに似た動物。
ラクダと違って背中にコブはなく全身が毛で覆われています。
人懐っこくて働き者。
よくアルパカと間違えられるますがリャマの方が一回り大きく生息数も多い。
毛がバリエーションに富んでいることから、イケメンリャマがよく話題になります。
リャマは何世紀にもわたり荷物の運搬係だった
ラクダっぽい見た目と山岳地方在住ということで、自然と荷物係にさせられてしまったリャマさん。
ナショナルジオグラフィックの調査では、一日に20マイル(約32キロ)を歩き、75ポンド(約34キロ)の重さの荷物を運ぶことができます。
時には何頭ものリャマをひもでつなぎ、電車のようにして狭い山道を登っていくそうです。
比較的人間に従順で働き者のリャマですが、時には気持ちがのらないこともあるそう。
リャマは不快感を示す
不満を態度に表すことができるのがリャマのスゴイところ。
人間は学校や仕事が嫌でも渋々行くしかないですものね……。
疲れてやる気のなくなったリャマは移動を拒否したり、その場にへたり込んで頑として動かなくなります。
また人間が急かそうとすると、キックをかましたり胃の中のものを吐き出したりして抵抗するそう。ちなみにリャマの唾は胃液と内容物が混ざってかなりのにおい!だそうです。
……やだやだ!学校(仕事)なんて行きたくない!こんな感じでリャマさんのようにやってみたい気もするけど、人間社会では相当の覚悟がなければ無理ですね……リャマさんスゴイ!
リャマはまるで犬のよう
リャマを飼っている人は口々にこう言います――リャマは犬のようなものであなたの友達だと。
日本ではどちらかというとアルパカの方が知名度があるかと思いますが、アルパカ以上にリャマは人懐っこく友好的なのです。
アルパカを飼っている人は逆に「アルパカは羊のようなものであなたと決して遊んだり友人になろうとはしません」と語ります。
アルパカとリャマを比較すると、アルパカは群れるのが好きなのですが、リャマは独立心が強く一匹でも行動します。
孤高を貫く――だけど人間は好き!というこのツンデレ属性にメロメロになってしまうのも無理はありませんね。
リャマはハミングで会話する
犬と言えばワン、猫と言えばニャーが定番の鳴き声ですが、リャマはどういう声で鳴くのでしょうか。
ちょっと目を閉じてリャマの鳴き声を想像してみます……あれ?まったく思い浮かばない?
それもそのはずでリャマは犬や猫のようには鳴きません――彼らはハミングで会話をするのです。
Little Utah Farm Llama Humming
上の動画ではかなり小さいですが、ウーとかグーみたいな音を喉から出しているのがわかります。
この音が彼らのコミュニケーションツールになっています。
この音にはいくつもの種類があるようで、嬉しいときや不安なとき、怒っているときなどで音色が異なるそうです。
また異性に近づくときの音などもあるようで、このあたりは案外人間と変わらないところなのかもしれませんね。
リャマは弱音をはかない
唾は吐きますが弱音ははかないのがリャマの信条。
ふもとから山頂まで重い物を背負う日々においてもリャマは決してくじけたりはしません。
このストイックに仕事をこなす姿に憧れてしまいます。
……でも時には駄々をこねて動かなくなることもありますよ?
何事もほどほどに、休みもなくちゃやってられないですよね。
リャマはストイックすぎることで、飼い主が健康状態の変化に気づかない場合があるそうです。
健康なリャマの寿命は15年~29年だそうです。
他の動物たちの守護者になれる
リャマのストイックさは身辺警護にも役立ちます。
オレゴン州立大学の調査では、リャマは自分よりも小さな動物の群れをよく保護し、コヨーテなどの捕食者を追い払う素晴らしい仕事をすることができる、と報告しています。
また羊や山羊などを“警護”するだけではなく、時には自分たちのコミュニティの中に招き入れ守ることもするそうです。
なんと頼もしくて優しいのでしょう!
リャマさんのあの涼しい目で睨まれたら、捕食者たちも逃げ出すしかないのです!
インフルエンザの予防に役立つ
毎年流行するインフルエンザ。
インフルエンザウイルスは形を変えることで予防接種を無意味にし研究者たちの頭を常に悩ませています。
この人類共通の問題に光をあてるのがリャマの持つ抗体です。
人間の抗体は大きいためインフルエンザウイルスの外側の部分には接触できても、奥深くの核部分にまで浸透することがでません。
そのため毎年外側を変異させるウイルスに対して、その都度抗体(予防接種)が必要になります。
しかしその突破口になりうるのがリャマの持つ“小さな”抗体です。
カリフォルニアのスクリプス研究所の研究では、リャマの血をインフルエンザウイルスに感染させて作った抗体が、幅広いウイルスに対して効果があることを見つけ出しました。
小さな抗体がウイルスの核にまで届くことで恒久的な対策につながる可能性があるのです。
まだ実験段階で実用化に向けては様々な課題がありますが、もしかしたらリャマの血は人類を救う鍵になるかもしれません。
アニマルセラピーに利用される
リャマの包み込むようなやさしさと存在感は、リハビリセンターや介護施設などでのアニマルセラピーに利用されています。
Llamas Bring Happiness to Nursing Home | National Geographic
悠々と施設の中を歩き、どの相手にも平等に接する余裕とやさしさは見ているこちらも癒されてしまいますね。
日本では法規制やアニマルセラピーへの理解の遅れなどがあってなかなかこういう光景は見られませんが、いつの日かリャマの持つ癒しのパワーが必要とされ、みんながそれに触れる機会が持てるようになればいいなと思います。
いろんなリャマの姿を見てきましたが、ひとつだけ言えるのはリャマさんはカッコいい!これに尽きるかと思います。
仕事を黙々とこなし、弱者への配慮も忘れず、人々の癒しとなる……なかなかこんなカッコいい動物いませんよね。
リャマの魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。
寒い……毛皮を着よう
その毛皮は……まさかリャマさんの?!
いえ、これはユ〇クロのフェイクファーコートです。暖かい……
よ、よかった~♪じゃあわたしもコートを着て……暖かいね~♪
References:8 things you didn’t know about llamas