カンガルーがジャンプをするようになったのはいつから?新しい証拠が見つかる

動物

有袋類、そして強靭な後ろ足としっぽでジャンプ(ホッピング)をすることで知られるユニークな動物カンガルーですが、今回その起源となる化石が新たに発見されました。

化石はカンガルーが独特の歩みをするようになったと考えられてきた、1000万年前よりも古いものでした。

研究者たちは、当時のカンガルーとオーストラリアの環境との関係が進化を促進させたと考えています。

 

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発見されたカンガルーの化石は2000万年前のもの

 

 

スウェーデンのウプサラ大学の研究者Benjamin Kear博士は、オーストラリアのクイーンズランド北西にあるRiversleighという場所でカンガルーのものとみられる化石を新たに発見しています。

この場所ではカンガルーの他にも有袋類、コウモリ、トカゲ、ヘビ、ワニおよび鳥を含む多くの動物の化石が発見されています。

発見された化石のつま先と足首の骨の形とその大きさを調べたところ、このカンガルーの化石が約2000万年前のものであること、そして木に登ったり現代のカンガルーと同じようにホッピングをしたりしていたことがわかりました。

 

現代のカンガルーは、後ろ足が発達しているかわりに前足はほとんど使われていません。

また一部を除いて木登りもしません。

もしこの化石がカンガルーのものであれば、現代のカンガルーにつながる祖先の可能性があり、また従来1000万年前とされてきた進化の歴史に訂正が加わることになります。

 

Kear博士のチームは、化石の残っている部分からその可動域を推定する作業を行っています。

そして当時の植生や気候変動などから、彼らが木登りとホッピングの両方を使って生活をしていたと結論づけました。

この新しく発見された2000万年前のカンガルーの種は、ホッピングだけでなく、クライミングやウォーキングなどの様々な方法を使ってオーストラリアの大地を駆け巡っていました。

 

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環境の変化がカンガルーにホッピングを習得させた

 

珍しいキノボリカンガルー photo credit: Erik K Veland Goodfellow’s Tree Kangaroo via photopin (license)

 

現在のカンガルーはジャンプに特化しており、かつての祖先が行っていたような複雑な運動方法を持っていません。

ではなぜ現在のカンガルーはホッピングだけを発達させたのでしょうか。

――それは気候変動によって食べるものがなくなってしまったからでした。

 

現在のオーストラリアは平原や砂漠が多い大陸ですが、2000万年前は、緑豊かで高い木がたくさん生い茂る場所でした。

しかし気候変動により土地が干上がり徐々に砂漠化していくと、当時のカンガルーたちは食べる草を求めて地面を探しまわる必要に迫られていきます。

これまでは木に登りそこで食べ物を得ていたものが、今度は枯れた土地や砂漠を、自分の足を使って通り抜けなければならなくなったのです。

現在生息しているカンガルーの種の中には時速70kmを出し、1日で100km移動するものもいます。

生えている草を探して広大な大地を探し回るために、彼らの後ろ足は強力な発達を遂げました。

 

Kear博士は、草原地帯と砂漠が同時に拡大していくなかで、食料源から次の食料源までの長距離をすばやくカバーする効率的な方法として後ろ足が進化したのではないかと推測しています。

そして素早い進化を遂げ環境に適応できたことが、現在でもカンガルーが繁栄している理由だと述べています。

 

 

 


 

今回の新たな発見で、現在のカンガルーの祖先が2000万年前から存在していたことがわかりました。

カンガルーのたくましい脚が繰り出すホッピングは、少なくなった餌を広範囲にわたって探すために環境に適応したことで可能になりました。

 

 

 

References:Science,TheRoyalSociety