火星での酸素生成実験が終了 パーサヴィアランスに搭載された「MOXIE」

宇宙
(NASA/JPL-Caltech)

NASAの火星探査機パーサヴィアランスに搭載された科学機器による実験が終了し、その結果が新たに公表されました。

MOXIEと呼ばれる機器は、2021年にパーサヴィアランスが火星に着陸して以降、火星の大気から酸素を生成する実験を繰り返し行ってきました。

これまでに小型犬の10時間の呼吸に相当する合計122グラムの酸素が作られており、NASAはこの成果を、将来の人類による火星探査に役立てたいと考えています。

 

(Credits: NASA/JPL-Caltech)

 

MOXIE(Mars Oxygen In-situ Resource Utilization Experiment)は、火星の大気の大部分を占める二酸化炭素から酸素原子を分離し、電気化学プロセスを通じて酸素を生成する装置です。

過去16回の実験が行われ、1時間あたり10グラム前後の酸素を作り出すことに成功しています。

 

酸素を生成するシステムは、様々な形で将来のミッションに役立つ可能性がありますが、最も期待されているのは、ロケットの推進剤としての役割です。

現状、人間が火星に向かうには、資材をどのようにまたどれだけ運ぶのかが大きな課題となっています。

火星に到達したとしても、そこで少なくとも1年以上は過ごさねばならず、食料、住居、酸素に加え、地球に帰るロケットに必要な燃料も確保しておかなければなりません。

NASAの試算によると、4人の宇宙飛行士が火星に到達するには、7トンのロケット燃料と25トンの酸素が必要です。

また現地で1年過ごすには、1人あたりさらに1トンの酸素が必要となります。

酸素生成システムは、大量の酸素を地球から運ぶのではなく火星自体から得ることで、こうした問題の一部を解決に導くことができます。

NASAのパム・メルロイ副長官は、「MOXIEの素晴らしい性能は、火星の大気から酸素を抽出することが可能であることを示しています。酸素は将来の宇宙飛行士の呼吸可能な空気や、ロケット推進剤を供給するのに役立つ可能性があります」と述べています。

 

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MOXIEが作り出した酸素の量は微々たるものですが、2年以上に及ぶ運用データは、火星から資源を得る方法について多くの洞察を科学者にもたらしました。

一連の実験は、ISRU(In-Situ Resource Utilization-その場での資源利用)の概念に基づいており、この分野での成果は、人類の月および火星への進出をより確実にするために欠かせないものです。

MOXIEは今後、新たなバージョンは作られず、得られたデータは、酸素を液化し貯蔵するシステムの構築に役立てられます。

NASAの宇宙技術ミッション本部の技術実証ディレクターであるトゥルーディ・コルテス氏は、「現地の資源を将来のミッションに役立つものに変えることのできる、MOXIEのような画期的技術をサポートできたことは誇りです。この技術を実環境で実証することにより、宇宙飛行士が火星の陸地で生活する、という未来に一歩近づくことができます」と述べています。

 

 

 


 

 

かなで
かなで

122グラムって人間だったらどれくらい呼吸できるのかな?

ふうか
ふうか

体格にもよるが大体3時間くらいだな

 

Reference: NASA