NASAは21日、火星で行われた実験において、初めて大気中の二酸化炭素から酸素を作り出すことに成功したと発表しました。
酸素は、2月に火星に着陸した探査機「パーサヴィアランス」に搭載されている科学機器によって作られたもので、得られたデータは、将来の有人火星探査に役立てられる可能性があります。
実験は4月20日、二酸化炭素をその場で収集し酸素へと変換する「MOXIE (Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)」と呼ばれる機器を使って行われました。
火星で初となる酸素の生成は2時間の試運転の後に始まり、MOXIEは最初の1時間で、約5.4グラムの酸素を二酸化炭素から取り出しました。
この量は、宇宙飛行士の約10分間分の酸素に相当します。
Another huge first: converting CO2 into oxygen on Mars. Working off the land with what’s already here, my MOXIE instrument has shown it can be done!
— NASA’s Perseverance Mars Rover (@NASAPersevere) April 21, 2021
Future explorers will need to generate oxygen for rocket fuel and for breathing on the Red Planet. https://t.co/9sjZT9KeOR
火星の大気の96%は二酸化炭素で、酸素はわずか0.16%しかありません。
これは火星探査が、有人ではなく無人で行われる理由の一つです。
NASAの試算では、宇宙飛行士4人が火星に到達するためには、地球から7トンのロケット燃料と、25トンの酸素を持っていく必要があります。
これに加え、現地で生活する1人につき、1年で1トンの酸素が必要です。
これだけの重さのロケットを打ち上げるのは現実的ではありませんが、火星に大量に存在する二酸化炭素を使えば、問題解決に一歩近づきます。
実験について、NASA科学ミッション本部のジム・ロイター氏は、「これは、火星で二酸化炭素を酸素に変換するための重要な最初のステップです。MOXIEにはまだやるべきことがたくさんありますが、今回の結果は、いつの日か人類が火星に降り立つという目標の達成に、大きな期待を抱かせるものです」と述べています。
MOXIEは、酸素生成の過程で高温になることから耐熱材料で作られており、外側には赤外線を反射する薄い金のコーティングが施されています。
これは機器が取りつけられているパーサヴィアランス本体に、熱が及ばないようにするためです。
MOXIEは、摂氏800度に達する変換プロセスを通し、酸素を二酸化炭素から分離し、余った一酸化炭素を大気中に排出します。
これにより、1時間で最大10グラムの酸素を生成することができます。
MOXIEの構造 (Credits: NASA/JPL)
酸素は宇宙飛行士の呼吸のほかに、ロケットの推進剤にも使われます。
技術がさらに発展すれば、将来、火星に到達した宇宙船は、地球に戻る際の燃料を現地で調達できるようになります。
MOXIEは今後2年にわたり、時間帯や季節、温度などの条件を変えながら、少なくとも9回の酸素生成を行う予定です。

今後の実験では、酸素生成の新しい手法も試されるそうだ

火星で酸素を作れるようになれば、人類の到達も夢ではなくなる……
Reference: NASA











