宇宙船内で暮らせる日も近い?ISSでクロレラを使った酸素と食料実験が開始される

宇宙
Credit: © IRS Stuttgart

ISS(国際宇宙ステーション)では様々な実験が行われていますが、先日5月6日にSpaceX社の宇宙船Dragonで到着した装置は、将来の宇宙での生活を劇的に変化させる可能性があります。

宇宙には酸素はおろか人間にとって食料となるものが何一つありません。

これまで人が訪れたことのある星が月だけなのも宇宙船に搭載できる物資に限りがあるからです。

今回ISSに到着した実験装置は長期間の宇宙探索を有人で可能にするためのアイデアが詰まっています。

近い将来、宇宙飛行士が月よりも遠い星に気軽に訪れることができるようになるかもしれません。

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フォトバイオリアクターは宇宙船内に酸素と食料を供給できる

 

DLR(ドイツ航空宇宙センター)はフォトバイオリアクター(Photobioreactor)と呼ばれる装置をISSに納入しました。

この装置はISS内で宇宙飛行士が吐き出した二酸化炭素を「藻」による光合成によって酸素と食用バイオマスに変換するためのものです。

 

フォトバイオリアクターは2018年に納入されたACLS(Advanced Closed-Loop System)という生命維持システムと連動して働くように設計されています。

ACLSはISS内の二酸化炭素からメタンと水を作り出します。

フォトバイオリアクターはACLSで使用されなかった残りの二酸化炭素を使い酸素を生み出すだけでなく、宇宙飛行士の食料になることもできます。

 

DLRのプロジェクトリーダーであるOliver Angerer氏は「この2つのハイブリッドソリューションは生命維持の将来に関する最前線だ」と語ります。

宇宙探査を続けていくうえで避けては通れないのが“人を載せてどこまで遠くへ行けるか”という問題です。

Angerer氏はACLSやフォトバイオリアクターの技術は、将来の惑星探査や惑星基地局の建設などにとって興味深いものになると述べ、今回のプロジェクトはその基盤になると語りました。

 

今回ISSに持ち込まれたフォトバイオリアクターは高さ1m、幅2mほどしかなく、現時点では宇宙船内の飛行士全てに酸素を供給することはできません。

科学者たちはさらなる研究を進め、将来的には宇宙船や建造物の内壁の一部として機能することを目指しています。

 

クロレラは宇宙だけでなく地球での問題も解決できる

 

フォトバイオリアクターの主役は緑色をした藻である「クロレラ」です。

健康食品としてもてはやされたこともあるおなじみの食品ですが、クロレラは宇宙での生育に非常に適したものです。

クロレラは機械的および化学的保護を備えた非常に厚い細胞壁を持ち、また高い弾力性があります。

そして光合成能力が高く、増殖するためには二酸化炭素、太陽の光、少量の栄養液しか必要としません。

 

DLRはクロレラの作り出す酸素だけでなく、それ自体が宇宙飛行士の食料になることを期待しています。

試算では一日の食料摂取量のうち最大30%をまかなうことができると見積もっています。

 

フォトバイオリアクターとそこに積まれたクロレラは6か月間ISSに滞在する予定です。

 

 

 


 

地球に持ち帰られたデータは将来の宇宙船内での自立した滞在だけでなく、地球での密閉された空間――例えば潜水艦――における安定的な食料供給および空気清浄についての新たな研究にもつながる可能性があります。

またクロレラなどの藻類は閉鎖系でより効率的に栽培できることから、二酸化炭素の削減や日当たりの悪い貧しい地域での食料問題の解決など幅広い活躍が期待されています。

 

宇宙船という閉鎖された空間における酸素と食料の持続的な供給についてはまだまだ研究が必要ですが、きっと半年後にはこの分野を推し進める素晴らしい成果を見ることができるのではないでしょうか。

 

 

Hybrid life support system Photobioreactor (PBR) on the ISS

Hybrid life support system Photobioreactor (PBR) on the ISS

 

 

References:DLR

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