ISSで栽培されるトウガラシ 宇宙飛行士の健康維持に貢献する期待の食材

宇宙
(Brett_Hondow/Pixabay)

NASAはISS(国際宇宙ステーション)内で、これまでで初となる根茎の植物を栽培すると明らかにしています。

 

根をはる数多くの植物のなかから選ばれたのは、ニューメキシコ州原産のトウガラシ「エスパニョーラ」です。

トウガラシは宇宙での栽培に適しているだけでなく、退屈な食事のちょっとしたスパイスにもなります。

NASAはISSでの実験を通して、トウガラシを宇宙飛行士の食事メニューに加えたいと考えています。

 

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トウガラシは宇宙飛行士の健康維持に貢献できる

 

ISSは限られた空間であり、地上にある全ての品目を持ち込むことはできません。

栽培される植物には、宇宙空間という特殊な環境に耐えられる強さと、容易な受粉、そして早い成長速度が求められます。

ニューメキシコの高地に生息するエスパニョーラはこれら全てを兼ね備えています。

 

エスパニョーラがISSに持ち込まれるきっかけを作ったのは、NASAの科学者であるジェイコブ・トーレス氏です。

トーレス氏は、自身の出身地であるニューメキシコ産のエスパニョーラが、通常のトウガラシよりもはるかに標高の高い場所で育ち、また成長速度が早いことを知っていました。

最終的にエスパニョーラは地上で行われたテストに合格し、晴れてISSでの栽培リストに加わることになりました。

 

ISS内で栽培されている植物 (Credit: NASA/ISS)

 

エスパニョーラの宇宙における利点は、早い成長速度だけではありません。

宇宙飛行士は日々の食事のなかで、よりスパイシーなものを求めています。

現在の宇宙食はバリエーションが豊富で、味も飛行士の好みに対応できるよう工夫されていますが、それでも宇宙空間での食事は、地上のそれと比べるとはるかに味気ないものです。

また無重力空間では人間の体液が移動し、味覚や視覚の異常を引き起こすことがあります。

こうした症状はビタミンCの摂取によって緩和されます。

トーレス氏は宇宙食としてのエスパニョーラについて、「豊富なビタミンが含まれており、宇宙飛行士が直面する健康問題と戦うのに役立つ」と述べています。

 

ISSでは既にレタス、フダンソウ、大根、白菜、エンドウなどが栽培されています。

 

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宇宙空間で栽培できる種は、NASAが将来的に目指している火星への有人飛行に役立てられる可能性があります。

火星は月とは異なり簡単に往復できる位置にはなく、人を乗せた宇宙船の場合、片道でさえ2年がかかるとされています。

人類が無事に火星にたどり着くには、船内での作物の栽培が欠かせません。

トーレス氏は、「火星に行くロケットを作ることはできるが、食べ物がなければうまくはいかない」と指摘し、「従来の宇宙食だけでは、飛行士に必要な栄養やビタミンを補うことはできないだろう」と述べています。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

宇宙飛行士もたまには辛いものを食べたくなるよね

ふうか
ふうか

人類が火星に到達するには手間がかからず大量生産できる作物が必須だな

 

 

 

References: CNN,ScienceAlert