木星の衛星エウロパで水蒸気を確認、生命存在の可能性により近づく

宇宙
Credit: NASA/JPL/DLR

NASAの科学者は木星の衛星の一つ「エウロパ」に、水蒸気の噴出を確認したと発表しました。

エウロパの表面を覆う硬い氷の層の下に大量の水があるかもしれない、という仮説は、1989年に打ち上げられたガリレオ探査機のデータによって生まれ、もし水が確認されれば生命の存在につながる可能性があることから、科学者はその証拠を長い間探し求めてきました。

これまでの探査機の調査やハッブル宇宙望遠鏡での観察によって、エウロパの表面には“プルーム”と呼ばれる噴出が起こることはわかっていました。

しかしそれが水蒸気であるかは不明のままでした。

Nature Astronomy誌に掲載された新しい論文によると、エウロパの表面では水蒸気のプルームが発生し、それはオリンピックサイズのプールを数分で満たすほどの水分を含んでいます。

エウロパでの水蒸気の確認は、この星に生命が存在している可能性をさらに高めるものです。

 

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エウロパのプルームのいくつかには水蒸気が含まれる

 

左からボイジャー1号、ボイジャー2号、ガリレオが撮影したエウロパ Credits: NASA/JPL

 

11月18日付けの科学誌Nature Astronomyに掲載された論文で、主任研究者であるNASAの惑星科学者ルーカス・パガニーニ氏は、木星の衛星「エウロパ」の表面に噴出したものが水蒸気であることを確認できたと発表しています。

パガニーニ氏は、エウロパに生命が存在するのに必要な3つ要素のうちの2つ、すなわち、化学元素(炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄)とエネルギー源(木星からの放射線)についてはその存在がわかっているものの、もう一つの重要な要素である“液体の水”についてそれを見つけるのは難しいと述べました。

 

しかし今回、新たなに行われた地球からの観測と、過去のハッブル宇宙望遠鏡や探査機が取得したデータなどから、エウロパの表面には“プルーム”と呼ばれる噴出が見られ、その中の一部には水蒸気が含まれていることを確認しました。

 

科学者はまだエウロパで液体の水を確認していません。しかし最良のものを発見しました――それは蒸気の形をした水です。

 

パガニーニ氏たちの研究チームは、2016年から2017年の間に行われた17日間のエウロパの観測で、はっきりとした水蒸気の信号を一度だけ検出しました。

観測はハワイにあるW・M・ケック天文台で行われ、分光器を使用してエウロパの惑星大気の化学組成を測定しました。

2013年に行われたハッブル宇宙望遠鏡での観測では、エウロパの地表にプルームが存在することは確認できましたが、それが水蒸気なのか、地中から漏れ出た何らかのガスなのかはわかりませんでした。

地球の望遠鏡を使って宇宙にある星の水分を検出しようとすると、地球の大気に含まれている水分を、間違ってその星のものだと誤検出してしまう可能性があります。

他の星で発生したプルームが水蒸気なのかどうかを調べるのはとても難しく、地球からの望遠鏡による観察はもちろんのこと、探査機を向かわせたとしても簡単に確認できるものではありません。

そこでパガニーニ氏たちの研究チームは誤検出の影響を最小限に抑えるために、複雑な数学的モデルとコンピューターモデリングを使用して地球の大気をシミュレートし、エウロパから返される水分に関するデータと地球の大気中にある水分とを区別できるようにしました。

その結果、エウロパで発生する全てのプルームが水蒸気である、ということはなかったものの、ある一つのプルームが水蒸気を含んでおり、水分に換算するとかなりの量になることを発見しました。

計算によると水の量は1秒あたり2,360キログラムであり、これはオリンピックサイズのプールを数分で満たすほどの放出量です。

 

Water Vapor Plumes on Europa

Water Vapor Plumes on Europa

 

過去の観察や探査機からのデータから、エウロパにはかなりの水がその表面下に隠れていると考えられてきました。

今回の水蒸気の発見はその仮説を裏付けるものですが、パガニーニ氏によると喜ぶのはまだ早いようです。

 

最終的には実際に何が起こっているのかを知るために、エウロパに近づく必要があるでしょう。

 

パガニーニ氏は、水蒸気を含んだプルームが出現するのは比較的稀な現象であり、また局所的であることに注意すべきだと述べています。

 

エウロパに生命が存在していると考える人たちの多くは、この星の氷の層の下に広大な海があり、そこから頻繁に水蒸気の形で水が地表にあふれ出ていると想像します。

しかし今回の研究結果は、エウロパのプルームの全てが水蒸気ではないことを明らかにしています。

パガニーニ氏が指摘するように、エウロパに水と生命が存在しているのかどうかは、結局のところ、実際に訪ねてみることでしかわからないかもしれません。

 


 

それでも今回の観測結果により、エウロパに生命が存在するという可能性は一段と高くなったと言えます。

NASAは2020年代中盤を目標に「エウロパ・クリッパー」と呼ばれる、最初のエウロパ探査機を打ち上げる予定です。

エウロパ・クリッパーは、地表面だけでなく、地中や大気、氷の層やその下にあるとされる海など様々な地点を観測し、プルームの詳細な画像の撮影や、質量分析計を使った大気中の分子のサンプリングなども行います。

エウロパ・クリッパーは、エウロパの秘密と生命の可能性についてさらなる事実を届けてくれることでしょう。

 


 

 

かなで
かなで

エウロパの氷の下には生き物がいるって聞いたけどホントかなぁ

ふうか
ふうか

液体の水があれば可能性はあるな。エウロパ・クリッパーの探査に期待しよう

 

References:NASA

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