今から50年前の7月20日、人類は初めて月の表面に降り立ちました。
世界人口の実に20%もの人たちが固唾を飲んでその映像を見守ってから半世紀、アポロ11号とその乗組員たちの成し遂げた偉業が、現代のテクノロジーの力によって鮮やかに再現されました。
GeForceシリーズなどのGPUを手掛ける半導体大手NVIDIAは、アポロ11号の月面着陸50周年を祝う特別な映像を公開しています。
映像は、同社の開発したRTXリアルタイムレイトレーシングテクノロジーを用い、月面での宇宙船や乗組員、そして荒涼とした月面や遠くに写る地球などの映像が、まるでそこにいるかのような迫力で映し出されています。
※レイトレーシング(ray tracing)とは、ある視点から光線を飛ばし、それらが何かにぶつかった際にその形状や反射率、透明度、屈折率などを測定する3Dグラフィック映像を作るための技法、またはレンダリングしていくシミュレート方法。実写では表現できない映像を作ることができ、映画やゲームで用いられてきた歴史があります。
Celebrating Apollo 11’s 50th Anniversary, with Commentary from Buzz Aldrin
NVIDIAの発表によると、同社のNVIDIA RTX GPUを用いた月面着陸のデモの作成は5年前から計画されていました。
詳細な着陸イメージを理解するために可能な限りのデータを集めたといいます。
着陸船のリベットを始め、月面を覆う塵の性質を確認したり、宇宙飛行士の着ている宇宙服の材料の反射率などわかりうる全てのデータを測定し再構築しました。
この地道な努力と5年もの歳月――そしてもちろん、RTXのリアルタイムレイトレーシング機能――によって、着陸船の後ろから来る太陽光線が月面から跳ね返る様子や、着陸船に不気味な月の影を落とす方法、また光が宇宙飛行士の宇宙服と相互作用する性質などを詳細に再現することができました。
NVIDIAのRTXテクノロジーは、膨大な時間と労力を要していたレイトレーシングをリアルタイムで行うことができます。
これまで映画の中で使われていたレイトレーシングには、1つのシーンだけで数時間から数日間もの作業が必要でした。
しかし最近の技術の進歩によりレイトレーシングに対応したビデオゲームなども登場しており、そのリアルと見紛う臨場感は、まるでその場に自分が居合わせているかのような感覚さえ抱きます。
今回のアポロ11号着陸を再現した映像は、一生のうちでおそらく行くことのないであろう未知の領域である月面に私たちを運んでくれる、現代のテクノロジーの粋を感じさせるものです。
あまりに鮮明なため、CGか映画の中の出来事と思ってしまうほどの映像ですが、技術的なことはさておき、人類の偉業の目撃者になってみるのも一興でしょう。
Source:NVIDIA