ESA(European Space Agency-欧州宇宙機関)は2025年までに月面に基地を設け資源を採掘する計画に着手したと発表しました。
これは月に存在している「レゴリス」とよばれる塵の層から水や酸素を抽出する計画です。
最近では中国が月の裏側に探査機を送り様々な活動をしていますが、ESAは今後の宇宙での活動拠点として月を利用することを望んでいます。
2025年までに月面での活動を目指す
ESAは今週の月曜日ロケットメーカーのArianeGroup(アリアングループ)と1年間の契約を結んだことを発表しました。
その内容は、月の表面に存在しているレゴリスから水と酸素を抽出するための研究と、月での活動拠点となる月面基地に関するものです。
ESAは最終的な目標を、2025年までに月に行きそこで活動を開始すること、としています。
ESAの人とロボット探査のディレクターであるDavid Parker氏は、月の資源を用いることで持続的な探査の可能性があると述べました。
レゴリスから水や酸素を抽出することができれば地球から大量の資源を持っていく必要がなくなります。
そして長期的な月での活動が可能になります。
現在の国際宇宙ステーションの運営計画は2024年までとなっています。
ESAはそれまでに有人の月面探査と持続的な滞在の実現を目指しています。
ムーンビレッジ――惑星探査の新拠点
Copyright ESA/Foster + Partners
具体的な月面での活動はどのようにして可能となるのでしょうか。
それには3D印刷技術が欠かせないものとなりそうです。
2016年にESAはロンドンの設計事務所Foster + Partnersが設計した、月に村を建設する計画について詳しく解説をしました。
それによると月に建設する村は、発掘調査の拠点としてはもちろんのこと、観光スポットの基盤にもなりうる可能性があります。
ESAのトップJan Woerner氏はこの計画を遂行するために3D印刷技術を用いた月面基地の建設をシミュレートしているといいます。
将来的にはまずロボットを月面に送りそこで3D印刷のデータを元に基地を建設します。
それはドーム状の建物で宇宙からの放射線や微小隕石から居住者を守ります。
1週間ほどかけて建設された基地には様々な分野で活躍する人材が送られ、そこは宇宙ステーションにかわる研究施設となり、さらには火星をはじめとした別の惑星探査の中継基地として機能します。
Jan Woerner氏はこの月面基地を「ムーンビレッジ」と名付けています。
レゴリスの代用品となる火山灰 Copyright ESA
現在ESAは月でのレゴリス調査のために地球でのシミュレーションを繰り返しています。
ドイツ西部からベルギーにかけて広がるアイフェル山脈から採取した4500万年前の火山灰をレゴリスの代用品として研究を行っています。
またLunaとよばれる月面模擬施設を作りそこで科学者や宇宙飛行士を訓練させる予定もあります。
ESAプロジェクトマネージャであるAndreas Diekmann氏は、Lunaが月面での活動の手順を提供すると語ります。
そして月面基地をつくることの重要性を強調しました。
月はESAにとって重要な焦点であり、人間による探査の次なるステップなのです。
NASAはアポロ計画での人類の月面着陸以降、有人での月調査について熱心ではありませんでした。
しかし最近になって宇宙飛行士を月面に向かわせる計画についてほのめかしています。
月の資源獲得競争が本格的になるという予想もあるなか、各国の月面調査に向けた動きがどのようになっていくのか注目です。