月や火星での住居問題を解決する斬新な研究が進行中、真菌で作られた“生きた家”

宇宙
Credits: L. Rothschild

人間が月や火星を訪問できるようになる日は着々と近づいています。

しかしそれらの場所で地球と同じような生活を送るのは簡単なことではありません。

物資を地球から運ぶのには膨大なコストがかかります。

そのため月や火星で宇宙飛行士が生活するためには、持続可能な住居が必要になります。

 

現在NASAは、月や火星に住居を作るための興味深い研究を行っています。

その家は“菌”でできています。

 

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月や火星での最適な住まいは、真菌で作られた“生きた家”

 

NASAのエイムズ研究センターは、月や火星などの、生命のいない場所で成長する構造物について研究しています。

「Myco-architecture(マイコ・アーキテクチャ)」と名付けられたこのプロジェクトは、生命そのものをテクノロジーとして使用する「合成生物学」と呼ばれる分野を扱っています。

プロジェクトは、真菌を使って住居の壁をつくり、宇宙飛行士がその中で暮らせることを目標に進められています。

 

プロジェクトの主任研究員であるリン・ロスチャイルド氏は、火星に地球のような家を持ち込むのは信頼できる計画だが莫大なコストがかかると述べます。

 

地球の家を持ち込む代わりに菌糸体を利用して、自分で家を育てることができます。

 

プロジェクトの最終目的は、人間の探検家たちが、休眠状態の菌類を含んだコンパクトな家を火星のような場所で利用できるようにすることです。

宇宙飛行士は未知の環境に着いた後、眠っている菌に水をかけるだけで、成長を続ける生きた家を展開することができます。

 

菌糸体で構築されたスツール Credits: 2018 Stanford-Brown-RISD iGEM Team

 

真菌は、パンやビールに含まれる酵母菌、キノコやカビ、ペニシリンのような抗生物質を生成する微生物などの総称です。

菌類は「菌糸体」と呼ばれる糸状の構造が集まってできており、適切な条件を満たすことで、革に似た素材から火星の住居の構成要素に至るまで様々なものに作り替えることができます。

 

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「Myco-architecture」プロジェクトが構想している家は、人間を守るための単なる壁ではなく、中に住む人間と複数の生物が共存する一種のエコシステムとして機能します。

家の壁は3層構造になっており、一番外側が氷でできた壁、真ん中が酸素と真菌の食料を生産する「シアノバクテリア」の層、そして最も内側が真菌でできた壁になっています。

シアノバクテリアは太陽からのエネルギーを使用して光合成を行い、水と二酸化炭素を酸素と真菌の食料に変換することができます。

シアノバクテリアから栄養を得た真菌の壁は、やがて丈夫に成長することで家を強くし、中に住む宇宙飛行士を宇宙線などの脅威から守ります。

 


 

Myco-architectureプロジェクトが行っている研究は、宇宙での生活に関することだけでなく、廃水からミネラルを抽出するろ過システムや、生物発光による照明、湿度調節、さらには自己修復可能な構造物など多岐に及びます。

真菌をうまく利用することができれば、環境に優しい持続可能な生活を可能にできます。

ロスチャイルド氏は、プロジェクトの成果は宇宙で試された後に地球に持ち帰ることができると話し、地球全体の二酸化炭素排出量の40%を占める建設業界などを筆頭に、真菌を使ったシステムが利用されるようになることに期待を寄せています。

 


 

 

ふうか
ふうか

真菌を使って家具を作る研究も行っているようだぞ

しぐれ
しぐれ

月や火星の家の中は外と違ってにぎやかになりそうだね~

かなで
かなで

菌で出来た椅子には座りたくないかも……

 

 

 

References:NASA

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