ヨーロッパ南天天文台(ESO)が、数千光年先で羽ばたく「宇宙の蝶」の姿をとらえています。
ESOの超大型望遠鏡(VLT)によって撮影されたのは、南半球から見えるほ座(帆座)にある「NGC 2899」と呼ばれる惑星状星雲で、地球から3,000~6,500光年離れた地点にあります。
NGC 2899は1835年に、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルによって発見されていましたが、鮮明な画像が記録されたのは今回が初めてです。
Resembling a butterfly with its symmetrical structure, beautiful colours, and intricate patterns, this striking bubble of gas, NGC 2899, appears to float and flutter across the sky in this new picture from our VLT.
— ESO (@ESO) July 30, 2020
Credit: @ESOhttps://t.co/IseDOa6YRe pic.twitter.com/gPpSBa2N9y
惑星状星雲は恒星のライフサイクルの終盤を示す状態であり、赤色巨星が放出したガスと、後の段階である白色矮星から放出された紫外線とが反応することで形成されます。
赤色が水素、青色が酸素を含む層で、ガスの温度は1万度以上もあります。
NGC 2899は中心に2つの星があり、それらはほぼ対称的な形をしていると推測されています。
蝶のような外観は、一方の星が寿命を終えまき散らしたガスを、もう一方の星の重力が引き寄せることで作られています。
惑星状星雲の形成に2つの星が関わっているパターンは珍しく、全体の10~20%しか確認されていません。
この宇宙の蝶は中心から外縁までの距離が最大2光年で、数千年後には崩壊が終了し見られなくなります。
今回の撮影に使われたVLTは、人間が識別できる40億倍以上の暗さをとらえることができます。
ESOのサイトではNGC 2899を拡大して見ることができるぞ
星の最後は美しい……