金星よりも内側を周る奇妙な星が発見される

宇宙
Credit: NASA/SDO

天文学者や観測技術の発達により近年これまでにないほど新しい星が発見されています。

星といっても地球サイズのものから彗星や直径数キロにも満たない小惑星など様々です。

 

太陽系には地球を含む数個の惑星しかないと考えている人もたくさんいますが、実際はとんでもない数の星たちが太陽系をぐるぐると回っています。

その太陽系の中で数えきれないほど存在している星のグループに”アティラ群“とよばれるものがあります。

これは太陽から地球までの距離――天文単位で1AU(約1億5000万km)――の間に収まる軌道を持った天体群のことです。

これまでアティラ群に属する小惑星は33個見つかっていました。

 

ここに今回発見された新たな星が加わることになったのですが、その星はとても奇妙な動きをしていました。

 

新たに発見された小惑星、2019 AQ3

 

2019 AQ3の軌道を上から見た図 Credit:Jet Propulsion Laboratory,Public Domain

 

カリフォルニア工科大学のパロマ―天文台が2017年から行っている空の広域調査は、高性能のカメラと望遠鏡を用い遠くの銀河や連星、変光星、小惑星などを数多く発見してきました。

ZTF(Zwicky Transient Facility)と呼ばれる調査プロジェクトは、2019年1月4日に太陽を周回する奇妙な動きの星を捉えました。

その小惑星は太陽と金星との間のゾーンを楕円軌道で周回していました。

 

金星軌道の内側を周回するこの星はこれまで見つかったアティラ群の中で最も太陽に近い軌道を通っていました。

 

現在「2019 AQ3」と名付けられているこの小惑星にはもう一つの驚きがありました。

それはこの天体の軌道傾斜角が太陽に対して約47度も傾いていたことでした。

(軌道傾斜角は太陽の赤道面に対して星がどれだけ傾斜しているかを表したもの)

 

2019 AQ3の軌道を立体的にしたもの Credit:Jet Propulsion Laboratory,Public Domain

 

地球を含む太陽系の惑星(水星から海王星まで)は太陽の赤道に対してほぼ平行な動きをしています。

しかし2019 AQ3は太陽の北半球と南半球を斜めに横切る非常に稀な軌道をとっていました。

 

調査チームはその後ハワイのハレアカラに設置されているパンスターズ(4台の望遠鏡で空の観測を行うプロジェクト)のデータにこれまで見落としていた2019 AQ3のものが含まれていたことを発見します。

そしてそのデータを今回のZTFのものと合わせることで2019 AQ3の詳細な軌道を正確に計算しました。

 

それによると2019 AQ3は165日で太陽を1周し、その直径は最大で1.6kmだということです。

 


 

カリフォルニア工科大学の赤外線処理分析センターの天文学者Quanzhi Ye氏は次のように述べています。

 

2019 AQ3は地球の軌道の内側に軌道をもつ小天体の中で最大のものです。そしていろいろな意味で本当におかしな小惑星であるといえます。

 

そしてまだたくさんの未知の小惑星が存在するかもしれないと語りました。

 

宇宙の観測は地球を守るためのもの

 

ZTFの主任研究員は、ZTFが3夜ごとに北半球全域を調査していると述べています。

2018年の3月以来、1100以上のトランジェント(天体から発せられる電磁波のこと)を識別し、いくつかの超新星を発見しています。

またNed StarkとJon Snowという名の2つのブラックホールも発見しました。(これは人気の小説とドラマであるゲーム・オブ・スローンズの登場人物の名前です)

 

ZTFやパンスターズなどは新たな天体やブラックホールなどの様々な発見をしていますが、その目的の一つは地球に将来害を及ぼす可能性のある物体を発見することです。

 

今回発見された2019 AQ3は今のところ地球に接近したり衝突したりすることはないようですが、今後金星や水星の影響で軌道が変わることもありえます。

またこれまで発見されていなかった2019 AQ3のような星が驚きの傾斜角を持っていたことを考えれば、太陽系にはまだまだ危険な天体が数多くあるに違いありません。

 

 

 


 

将来致命的な影響を与える物体が地球に降ってこないとも限りません。

宇宙調査の地道な努力が人類を救う方法につながることを期待しつつ、今後どんな驚きの発見があるのか注目していきたいところです。

 

 

 

References:ScienceAlert,MinorPlanetCenter,Wikipedia

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