オークションハウスのクリスティーズは4日、国際宇宙ステーションで1年以上過ごしたワインが出品されたと発表しました。
ワインは、2019年の11月に国際宇宙ステーション(ISS)に送られた12本の「ペトリュス2000」のうちの1本で、14カ月の間、無重力空間で熟成されていました。
ペトリュス2000の元々の価格は1万ドルですが、クリスティーズは、今回のワインが「100万ドル前後」で落札されると予想しています。
Christie’s expects one of a dozen bottles of French wine that spent more than a year on the International Space Station to sell in the galaxy of $1 million. The wine comes with a corkscrew crafted from a meteorite. https://t.co/tDWFHKmqh9
— AP Europe (@AP_Europe) May 4, 2021
ワインは、植物の宇宙空間での耐性を調べる実験の一環として、民間企業Space Cargo Unlimited社によってISSに持ち込まれました。
研究者は宇宙で過ごしたワインから、熟成プロセスや発酵、泡などについて、より深く理解したいと考えています。
地球に戻ったワインの一部は今年の3月にフランスのボルドーで試飲され、12人の専門家が、地上のワインとの違いを評価しました。
試飲をしたワイン専門誌のライターであるジェーン・アンソン氏は、「地球のワインは少し若々しい味がするが、宇宙のワインは柔らかく香りが良い」と述べています。
オークションに出品されるペトリュス2000には本体の他に、地上で保管されていた同じワインが1本、デカンタとグラス、そして隕石で作られたコルク抜きが付属しています。
ペトリュスは高級ワインとして知られていますが、宇宙空間に滞在した今回の1本は、ワイン愛好家だけでなく、宇宙ファンや、富裕な収集家などもひきつける可能性があります。
クリスティーズのワインとスピリッツ部門の国際ディレクター、ティム・ティプトリー氏は、「このワインは非常に調和がとれていて熟成能力に優れているため、今回の実験に選ばれました。これはユニークな環境で熟成されたものであり、今でも上質なワインであることに変わりはありません」と述べ、落札価格を「100万ドル前後」と予想しています。
クリスティーズによると、地球に帰還したワインのうちの数本は未開封のままですが、今後も販売される予定はありません。
今回のオークションで得られた収益は全て、Space Cargo Unlimited社の研究費に充てられます。

このワインは少なくともあと20年から30年はもつそうだから、将来はもっとプレミア価格になるかもしれないな

宇宙に持っていく手間を考えれば、100万ドルの値がついてもおかしくはない……
Reference: AP News