国際捕鯨委員会(IWC)は、カリフォルニア湾の最北端にのみ生息するコガシラネズミイルカについて、史上初となる「絶滅警報」を発令しました。
コガシラネズミイルカは、大きいものでも150センチほどにしか成長しない、クジラの仲間では最も小さな種で、1996年から国際自然保護連合のレッドリストに指定されています。
IWCは8月7日、コガシラネズミイルカの生息数がわずか10頭ほどであり、刺し網漁を100%禁止しなければ、この種が絶滅するだろうと警告し、特に湾で行われているトトアバ漁が改善される必要があると指摘しました。
コガシラネズミイルカの数は、1997年に約570頭でしたが、2018年には10頭ほどにまで減少しました。
IWCは、コガシラネズミイルカがレッドリストに指定されて以降、刺し網漁がこの種に及ぼす影響について広く訴え続けています。
Act now or it will be too late for the #vaquita. After 30 yrs of warnings, @iwc_int Scientific Committee issues first ever #ExtinctionAlert, a new mechanism to voice extinction concerns more clearly and publicly https://t.co/2FLUUvqe4H pic.twitter.com/h7gxqfGMZH
— International Whaling Commission (@iwc_int) August 7, 2023
トトアバはコガシラネズミイルカ同様、カリフォルニア湾にのみ生息する魚で、乱獲の影響から、現在はメキシコとアメリカのレッドリストに加えられています。
しかしトトアバは中国で人気があり、1975年に漁が違法化されてからも公然と取引が行われています。
この2つの種は大きさが似ており、コガシラネズミイルカは、刺し網漁による混獲で命を落としています。
IWCは、「30年近くにわたって警告が繰り返されてきたにもかかわらず、コガシラネズミイルカは刺し網に絡めとられることで絶滅しようとしている」と述べ、減少を食い止めるには、刺し網漁を100%終わらせる必要があると強調しています。
刺し網漁は魚の通り道に網を仕掛け、網目に体が絡まるように作られたワナで、一旦引っかかった魚が抜け出すことはほとんど不可能です。
混獲を防ぐため網目の大きさは対象の魚に合わせて厳密に決められていますが、それでも似たような体長の別の魚がワナにかかってしまうことがあります。
混獲は、コガシラネズミイルカだけでなく、多くの海洋生物の種の維持に深刻な影響を与えています。
コガシラネズミイルカの個体数は、今のところギリギリで踏みとどまっています。
IWCの広報担当であるケイト・ウィルソン氏は、「コガシラネズミイルカは約5年間、わずか10頭前後の個体数を維持することに成功し、私たちを驚かせました。この回復力こそが、彼らにチャンスがあると思わせるのです」と述べ、刺し網が100%除去されるならば、この種には希望があると指摘しています。
IWCが今年行った生態調査では、コガシラネズミイルカの子供が発見され、それなりに健康であることが確認されています。
トトアバは結構な金額で売れるみたいだよ
刺し網をやめてほしいけど漁師にも生活があるから難しい問題だよね