「LED」を取りつけるだけ、魚の習性を利用した混獲を防ぐ方法

自然
(NOAA Photo Library/Flickr)

長い網で海底をさらうトロール漁は大量の魚を捕獲できる一方で、目的以外の生き物も網にかけてしまうため世界中で大きな問題となっています。

現在混獲による生態系の崩壊を防ぐため、網目の大きさを調整したり、生き物が脱出できる装置の取りつけなどが行われていますが、十分な効果が出ているとは言えません。

科学者や漁業関係者は、混獲を防ぐ方法についてこれまで以上に高い関心をもっています。

 

イギリスの研究チームは、混獲を効率的に防ぐ方法として「LED」の採用を提案しています。

LEDは、多くの生き物を混獲による被害から守ることができます。

 

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捕まってしまった生き物をLEDの光で網の外に誘導

 

英国バンガー大学の調査チームは、マン島沖で行われたホタテ貝漁に同行し、網に「LED」を装着した結果、混獲されるタラやカレイなどの数が大きく減少したと報告しています。

この漁では元々混獲を防ぐために、魚が脱出できる仕掛けを網に施していました。

しかし水深29~40メートルまでの浅い場所では効果があるものの、水深45~95メートルの深く暗い場所ではほとんど機能していませんでした。

 

調査チームは、漁師が魚を引き付けるために伝統的に明かりを使ってきた点に着目し、従来の脱出口の外側にLEDを取りつけることで、魚を効率的に誘導できると考えました。

その結果、この単純な「出口を照らす」という方法は功を奏し、従来の方法よりも、タラ類の混獲を47%、カレイ類の混獲を25%減らすことができました。

Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom」に掲載された研究の著者の一人であるルーシー・サウスワース(Lucy Southworth)氏は、LEDを使うアイデアは、魚が光に引き寄せられる習性を利用したものであり、その反応を使えば、意図していない魚を網の外に逃がすことができると説明しています。

また従来の方法は、特に夜間の水深の深い場所では効果がないと指摘し、LEDがついていない網は様々な点において「非常に心配である」と述べています。

 

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漁におけるLEDの使用については、ペルーで行われた別の実験でも海鳥を遠ざけるのに役立つことが証明されています。

 

 

混獲は小さな種だけでなく、ウミガメ、イルカ、クジラ、サメといった大きくて成長の遅い生き物の命も奪います。

調査チームは、LEDは混獲の問題に対する比較的安価な解決策であり、網に簡単に取り付けることができるため、今後ますますこの手法の人気は高まっていくだろうと結論づけています。

 


 

 

かなで
かなで

漁師さんも気をつけてるみたいだけど混獲をゼロにするのは難しいみたい

せつな
せつな

海の資源をとりすぎるのも問題……

 

References: The Guardian