温暖化から「沸騰化」の時代へ 2023年7月が観測史上最も暑い月に

自然
(Prashant Mishra/Unsplash)

世界気象機関(WMO)は27日、2023年7月が観測史上最も暑い月になる見通しであると発表しました。

新しいレポートは、EUが資金提供しているコペルニクス気候変動サービスのデータに基づくもので、それによると最も暑かった日は7月6日で、月初からの3週間の平均気温は、過去最も暑かった2019年7月全体を大きく上回りました。

月の第1週と第3週は、パリ協定が定めた平均気温の上昇限度である1.5度を超え、また世界の海面水温は、4月以降記録的な値に留まり続けています。

 

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7月の気温上昇は、北米、アジア、ヨーロッパの熱波に関連しており、カナダやギリシャで起きた大規模な山火事を含め、人々の健康、環境、経済に大きな影響を与えています。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「今後数日間でミニ氷河期がやってこない限り、2023年7月は軒並み記録を塗りかえるだろう」と述べ、現代はもはや地球温暖化の時代ではなく「沸騰化の時代」であると警鐘を鳴らしました。

またWMOのペテリ・ターラス事務局長は、「7月に何百万人もの人々に影響を与えた異常気象は、残念ながら気候変動の厳しい現実であり、未来の予兆です。気候変動対策はもはや贅沢ではなく、必須の行動です」と述べています。

 

1940年1月1日から2023年7月23日までの世界の月別の平均気温。2023年は6月から急激に気温が上昇し7月6日に過去最高を記録した。点線はパリ協定で合意された気温上昇の努力目標である1.5度を示す (Credit: C3S/ECMWF)

 

7月の気温が過去最高記録を達成する見込みであることは、多くの気象学者も同意しています。

ドイツ・ライプツィヒ大学の気候科学者であるカーステン・ハウシュタイン氏は、2023年7月の気温は、化石燃料が普及する前に記録された7月の平均気温より1.3度から1.7度高くなると計算しています。

この数字は、過去数千年遡らなければ見つからないほどの変化であり、ハウシュタイン氏は、「今月は7月として最も暑いだけでなく、世界の平均気温の絶対値で見ても、史上最も暑い月になるだろう」と述べています。

 

1940年から2023年までの全ての7月のうち、1日から23日までの平均気温。2023年は2019年の最高記録を大幅に更新する見込み (Credit: C3S/ECMWF)

 

気温の分析を行っているアメリカの非営利団体バークレー・アースのジーク・ハウスファーザー氏は、日本とヨーロッパの気象学者のツールを使い、今月の気温が過去の最高気温より0.3度高くなるという結果を得ました。

ハウスファーザー氏は、「小惑星の衝突でもない限り、2023年7月が記録上最も暖かい月になることはほぼ確実です。7月の過去の記録に、これに類似するものは見当たりません」と述べています。

WMOの発表では、2023年7月のこれまでの平均気温は16.95度で、過去最も高かった2019年7月の16.63度を0.32度上回っています。

 

1979年1月1日から2023年7月23日までの世界の平均海面水温。2023年は4月から連続で過去の最高値を更新している (Credit: C3S/ECMWF)

 

気温の上昇は地球や自然のサイクルによるものと、人間の活動によるものとがあります。

7月の最高気温の更新は、海水温の上昇を伴うエルニーニョ現象や、太陽エネルギーを反射するエアロゾルの減少、さらには2022年に噴火したトンガの海底火山による水蒸気など、複数の要因が関わっていますが、影響力が最も強いのは温室効果ガスです。

しかし2015年のパリ協定で積極的な削減を促された温室効果ガスは、依然、化石燃料を優先する国や企業によって排出され続けています。

グテーレス事務総長は、「呼吸はできず、暑さは耐えがたく、化石燃料の利益と気候変動への無策は容認できない。指導者たちは率先して行動しなければならない。ためらったり、言い訳したり、他人が先に動くのを待っていたりする時間はすでにない」と述べ、政治家たちに気候変動対策を急ぐよう求めています。

 


 

 

せつな
せつな

暑すぎて何もやる気がでない……

かなで
かなで

エルニーニョは数年続くから来年はもっと暑くなるかもしれないよー

 

References: WMO,The Guardian,BBC