最大で30%の低下、植物への過剰な接触は成長速度を遅らせる

自然

植物が感情を持っているかもしれない、という考え方が主流になってきているなか、オーストラリアの研究グループは、植物が人に触れられることに対して非常に敏感に反応していることを明らかにしています。

植物の感情についての理解は、成長や生産の最適化に役立つ可能性があります。

 

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植物は接触に対して遺伝子レベルで反応する

 

 

オーストラリアのラ・トローブ大学のジム・ウィーラン(Jim Whelan)教授たちの研究グループは、植物への接触を繰り返すと、その成長が著しく遅れることを発見しています。

人間を含むあらゆるものに触れられた後の植物の遺伝子は30分以内に書き換えられ、その範囲は全体の10%にも及びました。

ゲノム情報の変更にはエネルギーが使われるため、それは植物の成長速度に少なくない影響を与えます。

ウィーラン教授は、「人間、動物、昆虫、あるいは植物同士の風による軽い接触においてでさえ、遺伝子に大きな反応を呼び起こす」と述べ、接触が繰り返された場合、莫大なエネルギーが使用されるため、植物の成長速度は最大で30%低下すると説明しました。

研究グループは今後さらなる研究を行い、植物の接触が引き起こす遺伝子レベルの反応のメカニズムを解明したいとしています。

 

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植物への接触はいいものと悪いものがある

 

 

移動することのできない植物は、種を繁栄させるために昆虫などの生き物に花粉を運ばせています。

甘い花の香りや蜜に誘われてやってきた昆虫や鳥は花粉を別の場所に運び、植物はそこで新しい命を育むことができます。

しかし今回の研究が示したように、植物の接触が彼らの成長を遅らせるのであれば、花粉を運ぶ昆虫や鳥も厄介な存在である可能性があります。

そこで研究グループは、植物の接触に対する防御反応が、触れる対象によって異なるのか、または均一なのかを調査しました。

その結果、植物は全ての接触に対して遺伝子を変えるものの、そこで使われるエネルギーの量は触れる相手によって差があることがわかりました。

昆虫や鳥などの花粉を運ぶ存在に対して消費するエネルギーの量は、人間と比べて著しく低いものでした。

植物が自分に触れる相手をどのように識別しているのかはよくわかっていません。

 

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植物の接触に対する反応の仕方には柔軟性があります。

植物同士が接触し一方の葉が影になると、太陽の光を遮られた側は遺伝子レベルで反応を起こし、葉の成長速度をアップさせます。

太陽は光合成に必要なため、植物は光の届かない状況に敏感に反応します。

 

ウィーラン教授は、植物の遺伝子についての理解は、接触に強い植物の生産に役立つと指摘しています。

そして、品種改良が別の問題――例えば枯れやすくなったり病気にかかりやすくなったりするなど――を生む可能性もあるとしながらも、植物の接触に関する研究は、将来の農業生産にとって有意義であると強調しました。

 


 

 

かなで
かなで

触れてきた相手によって反応を変えられるなんて器用だねー

せつな
せつな

植物に触るのはほどほどにしよう……

 

Reference:Phys.org