オーストラリアのクイーンズランドで新たな恐竜の化石が発見されています。
4メートルもの翼幅のあるこの“空飛ぶトカゲ”は、オーストラリアではほとんど発見されない翼竜の一種で、今から約9,600万年前に生息していたと考えられています。
この化石はクイーンズランド州ウィントンの町長であり、2017年初頭に化石が発見されてから数か月後に亡くなったグラハム・“ブッチ”・レントン氏に敬意を表して「フェロドラコ・レントーニ(Ferrodraco lentoni)」または「レントンのアイアンドラゴン(Lenton’s iron dragon)」と名付けられました。
ドラゴンが見つかったウィントン周辺の地域はこれまでにもたくさんの恐竜の化石が見つかっていますが、翼竜の化石が見つかることはほとんどなく、クイーンズランド州西部で見つかった2件に続いて今回の発見が3件目となります。
(翼竜はオーストラリア全体でも断片的な15種類の化石しか見つかっていません)
フェロドラコの化石は2017年に地元の羊飼いであるボブ・エリオットさんが発見し、恐竜博物館である「Australian Age of Dinosaurs」に持ち込むことでそれが珍しい翼竜のものであることがわかりました。
化石には顎と頭蓋骨の大部分、8つの手足の骨、5つの部分的な椎骨、40のスパイク状の歯などが含まれていて、総合的に見て最も完全といえる標本です。
発見されたフェロドラコの頭蓋骨部分 Image:Scientific Reports
フェロドラコについての研究結果をScientific Reports誌に掲載した、スウィンバーン工科大学の古生物学者アデル・ペントランド氏は、「翼竜の姿は壮観だったに違いない」と述べます。
翼竜の翼は4メートルもあり、現代の鳥に比べればかなり大きいものです。フェロドラコは9,600万年前の捕食者として頂点に位置していたことでしょう。
ペントランド氏によると、見つかった頭蓋骨の大きさは約60㎝で、それは体とのバランスにおいて非常に不均衡である(頭が体に比べて大きい)ということです。
こうした特徴を持つ翼竜は過去にイギリスやブラジルで発見されていることから、研究者たちはフェロドラコが海を渡って当時のオーストラリアにやってきたのではないかと考えています。
現在のウィントンはオーストラリアの内陸に位置していますが、9,600万年前は海岸に面していました。
先日もカナダで“冷たいドラゴン”の異名を持つ大型の翼竜の化石が発見され話題となりましたが、この翼竜も研究者たちがこれまでに想定していなかった場所で発見されています。
当時の翼竜たちの行動範囲は現代の私たちが考える以上に広範囲に及んでいた可能性があります。
オーストラリアの内陸で発見された「レントンのアイアンドラゴン」は、今後の発掘調査や翼竜に関する研究に新たな視点をもたらす重要な発見です。
References:Scientific Reports,CNN