アメリカとメキシコの特別捜査官は密輸グループを逮捕し、貴重なサボテンを押収しています。
アメリカとメキシコの国境では、麻薬や不法入国者だけでなく植物も監視の対象となっており、在来種の持ち出しが厳しく制限されています。
アジアやヨーロッパ向けに違法に持ち出されているサボテン
押収されたのは「Ariocarpus fissuratus」という名のサボテンで、テキサス州とメキシコ北部の少数の地域でしか見られない貴重な植物です。
このサボテンは成長するのに少なくとも10年はかかるだけでなく、野生の環境では動物に根が食べられてしまうことがあるため、愛好家の間で高値がついています。
保護の専門家で植物学者のカレン・リトル氏は、Ariocarpus fissuratusについて、「トゲが全くなく、柔らかく豪華であり、サボテンのテディベアのようだ」と説明し、「この植物は野生においても脆弱だが、現在の大きな脅威は人間からのものである」と述べています。
Ariocarpus fissuratus (Resenter1/Flickr)
捜査に加わっているアメリカ合衆国魚類野生生物局のフィリップ・ランド氏は、「このサボテンは希少性が高く、ヨーロッパやアジアで非常に人気がある」と述べています。
ランド氏は、Ariocarpus fissuratusには幻覚剤としての効用もあるが、主な人気の理由は、成長の遅さと数の少なさからくる希少性であり、自慢したい愛好家や園芸家に需要があると説明しました。
今回押収されたAriocarpus fissuratusの数は約4,000でした。
これは、毎年地面から引っこ抜かれている別の種のサボテンに比べれば少ない被害と言えます。
しかしこのサボテンは成長が遅いため、いずれ需要が供給を上回り、最終的には絶滅するおそれがあります。
(Matt Lavin/Flickr)
ランド氏は貴重なサボテンを欲する愛好家について、「これらの人々は種を絶滅の危機に追いやり、地域の生態系を破壊している」と語っています。
Ariocarpus fissuratusは岩だらけの広大な砂漠に生息しているため、密輸業者を取り締まるのは容易ではありません。
現在捜査チームは犯罪グループの情報をもとに、観光客を装ったおとり捜査や、車両に追跡デバイスを仕掛けたりといった方法で摘発を行っています。
しかし密輸業者も技術に精通しており、GPSでサボテンの位置を正確に把握することで見つかるのを防いでいます。
またサボテンの育つ土地自体を買い取る業者も出てきています。
植物学者のリトル氏は、サボテンが多くの人にとって人気の商品ではないことが、摘発を困難にしている原因の一つであると指摘します。
サボテンの国外への移動が違法であると認識している人はそう多くはありません。
実際Ariocarpus fissuratusはインターネット上で販売されており、おもちゃの箱に入れられて税関をくぐりぬけています。
リトル氏は、サボテンには1,480種が存在するが、現在その3分の1が絶滅の危機に瀕しており、それらの多くは闇市場が影響していると述べています。
秋になるときれいな花を咲かせるのも人気の理由なんだって
サボテンがどういうルートでやってきたのか買う人にも知ってほしいね
References: The Guardian