アストラゼネカのゼロカーボン戦略 2030年までに2億本を植樹

自然
(Erik Olsson/Flickr)

製薬会社のアストラゼネカは、2030年までに2億本の木を植える計画を発表しました。

これはアストラゼネカが進めているゼロカーボン戦略「AZ Forest」に基づくもので、地球の気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標に沿って、脱炭素化を実現することに焦点を当てています。

2020年に立ち上げられたAZ Forestは、2025年までに5000万本の木を植えることを目標に、これまで、オーストラリア、インドネシア、ガーナ、イギリス、アメリカなどで300種、1050万本の植樹を達成しました。

アストラゼネカは今回の発表で、森林再生のために新たに4億ドルを投資し、2030年までに2億本の植樹を目指すとしています。

 

 

アストラゼネカによると、今回のプログラムにより、大気中から推定3000万トンの二酸化炭素が除去され、2045年までに会社は実質カーボンゼロになります。

また二酸化炭素の排出量取引で重複がないよう、植樹を行った国と連携し情報が共有されるということです。

 

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植樹の効果と問題点

 

地球規模、特にブラジルをはじめとした熱帯地域での森林消失が続くなか、世界の企業は気温上昇を抑えるための迅速な行動を迫られています。

植樹は、二酸化炭素の吸収、森林の再生、洪水や地滑りの減少、生物多様性の維持など様々な効果が期待できます。

一方で一部の専門家は、植樹後の追跡調査の不足や、自然再生した木との成長度合いの違いなど、いくつかの問題点も指摘しています。

 

2021年の研究では、植樹の多くが炭素吸収ではなく、企業のイメージアップや雇用の創出、価値の高い品種の栽培などを目的に行われていたことが明らかになっています。

1961年以降、74ヵ国でおよそ14億本が営利組織によって植樹されていますが、このうち植樹後の生存率についてウェブサイトや報告書で言及した団体はわずか5%でした。

 

 

また植樹が必ずしも、森林の再生を促すものではないことも指摘されています。

イングランドとウェールズの慈善団体ウッドランド・トラストによると、鳥や風などを通じて運ばれた種子のほうが、環境に適した強い木に育つ可能性が高くなります。

こうした点についてアストラゼネカは、AZ Forestが植林の専門家や地域社会、政府などと連携したプログラムであり、植樹後も、欧州森林研究所を含む独立した機関によって監査および評価が行われるとしています。

アストラゼネカのパスカル・ソリオCEOは、「プロジェクトでは、場所によっては自然再生を利用するものもありますが、私たちが作業している地域は荒廃していることが多く、樹木が自然に再生するには何十年もかかるでしょう」と述べています。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

プロジェクトではドローンや衛星画像を使って木の成長や健康状態を監視するみたいだよ

ふうか
ふうか

植樹そのものも大事だが継続して結果を追跡することも必要なのだな

 

References: The Guardian,AZ Forest