冬の2倍、気候変動の影響で長くなっているオーストラリアの夏

自然
(Tim J Keegan/Flickr)

オーストラリアのシンクタンク「オーストラリア研究所 (The Australia Institute)」は、過去20年間の平均気温の推移を調べた結果、国内の夏の日数が長くなっていると報告しています。

オーストラリア研究所はレポートのなかで、この傾向はこれからも続く可能性が高く、より長く暑い山火事シーズンと、熱波による農作物および家畜の被害によって生態系全体が危険にさらされるだろうと警告しています。

 

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オーストラリアの夏の長さは冬の2倍になっている

 

調査は全国の70ある気象観測所の温度データを使って行われ、1999年から2018年までの20年間の気温を1950年から1969年までの20年間のものと比較しました。

その結果オーストラリアで夏とされる気温の観測日数が、過去の20年と比較して31日増えていることがわかりました。

夏の気温が初めて観測される日はこれまでよりも2週間ほど早くなっており、それに伴い冬の気温の観測日数は平均で23日減少しました。

 

オーストラリアの気象局は2019年が過去最も暑い年であると発表していますが、今回の調査には2019年分のデータが含まれていません。

それでも調査結果は、夏が平均で50%近く長くなり、ここ5年では冬の2倍に達していることを示しました。

増加した夏の日数はメルボルンで38日、アデレードで36日、タスマニアとパースでは35日などと地域によって異なりますが、夏が長く冬が短くなる傾向は共通しています。

レポートは、「温室効果ガスの排出量を最終的にゼロにしない限り、このような傾向は永久に続く可能性がある」とし、対策が十分でない場合、気候危機がオーストラリアに与える影響は計り知れないものになると結論づけています。

 

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オーストラリア研究所のエネルギープログラムのディレクターである、リッチー・マージアン(Richie Merzian)氏は、オーストラリアは地球温暖化によって1度の気温上昇を記録しているが、現在の温室効果ガスの排出削減目標では、3度から4度の温暖化をもたらすと指摘し、「オーストラリアの若者たちは、夏が長くなり続けることで重大な結果に直面するだろう」と述べました。

2017年のオーストラリア国立大学の調査によると、パリ協定が掲げる、世界の平均気温の上昇を2度に抑える目標を達成できたとしても、オーストラリアの2040年の気温は最高で50度に達する可能性があります。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

冬が短いと森林火災の防災準備にも影響が出てくるみたい

せつな
せつな

冬を知らない世代の登場もそう遠くないのかもしれない……

 

References: The Guardian