国際的な科学者チームは、南オーストラリアで発見された小さな虫の化石が、人類の最も古い祖先であるかもしれないと発表しています。
発見された2ミリから7ミリほどの虫の体には、人類や多くの動物と同じ「左右相称動物 (さゆうそうしょうどうぶつ)」の特徴がありました。
左右相称動物の体は3つの胚葉からできており、そのほとんどが前後左右において対称的な構造をしています。
化石は少なくとも5億5,500万年前のものとされています。
最古の左右相称動物は人類の祖先かもしれない
南オーストラリアのニルペナで見つかった米粒ほどの虫の化石は、円筒形の体と明確な頭と尾の特徴を持っていました。
これは人間や動物と同じように、口と肛門および内臓があったことを示す証拠です。
「Ikaria wariootia (イカリア・ワリオーティア)」と名付けられたこの小さな虫は、動物の進化の重要なステップである左右対称性を最初に獲得した種である可能性があります。
米国科学アカデミー紀要に掲載された研究の著者の一人である、米国国立自然史博物館の古生物学者スコット・エヴァンス(Scott Evans)氏は、イカリアの体の両端に頭や肛門の痕跡が認められるのはとても重要な発見だとし、「これはおそらく最古の左右相称動物である」と述べています。
Image Credit: Scott D Evans/UCR
3Dスキャンによる分析は、イカリアがミミズのように筋肉を収縮させながら浅い海の堆積物の中を移動し栄養を得ていた可能性を示しました。
イカリアには食べ物と酸素を感知する能力があり、口を開けて砂の中を移動することで、死んだ動物やその他の有機物を食べ排泄を行っていたと推測されています。
これまで左右相称動物は、6億2,000万年前から5億4,200万年前までの「エディアカラ紀」に登場したと考えられてきました。
しかしその根拠となっていたのは、何者かが掘ったと思われる巣穴などの痕跡のみで、生き物の化石自体ではありませんでした。
イカリアの発見は、左右相称動物の登場時期に関する新たな見方を提供します。
エヴァンス氏は、「イカリアは左右相称動物の系統の最初のものの一つである」と話しています。
エディアカラ紀の化石で左右相称動物が見つかったのは初めてみたい
この虫が人類の祖先であるかどうかについては、今後の研究を待つ必要があるな
References: The Guardian, EurekAlert