英国空軍の輸送機A400Mが、世界最大の氷山の一つである「A68a」を撮影しています。
A68aは、2017年の7月に南極のラーセン棚氷から分離した氷山で、その大きさは長さ150km、幅48kmにも及びます。
A68aは分離後1年以上の間、ラーセン棚氷の近くに留まっていました。
しかし2018年の9月、棚氷の上を流れる強風に押し出され、ウェッデル海をゆっくりと北に進み始めました。
現在A68aは、南極に近いサウスジョージア島から200kmの地点にあり、今後の進路次第では、浅い水域に入り立ち往生する可能性があります。
A68aはあまりに大きいため、衛星からの撮影以外では、一度に全てを捉えることができません。
A68aの進路 (Credit: ESA)
英国空軍は数回にわけて氷山を撮影し、画像データは、A68aの監視を行っているサウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島政府と、英国南極観測局に送られました。
We are keeping a close eye on the A68a iceberg as it drifts through #SouthGeorgia waters. These shots taken from a @RoyalAirForce A400M aircraft provide a unique view. It was so huge it was impossible to capture its entirety in a single shot! #SGSSIdiscover pic.twitter.com/nX8ToUfQP9
— Government SGSSI (@GovSGSSI) December 5, 2020
サウスジョージア島の大きさはA68aとほぼ同じであり、氷山が接触すれば輸送や生態系への影響は免れません。
英国南極観測局の生態学者であるジェラント・ターリング氏は、A68aが島の近くに到着した場合、特に野生生物が被害を受けると指摘し、「氷山が立ち往生すれば、10年はそこに居続ける可能性があり、陸上の動物の採餌に大きな影響が出る」と述べています。
サウスジョージア島はアザラシ、オットセイ、ペンギンの繁殖地で、周囲の海には餌となる魚やオキアミなどが豊富に存在しています。
A68aの面積は、ラーセン棚氷から分離した直後には約6000㎢でしたが、現在は4200㎢ほどに縮小しています。
サウスジョージアを避け北に移動した場合、氷山は海水温の上昇などにより分解される可能性があります。
こんな大きな氷山がどこにいくのかわからないとは……恐ろしい……
氷山には亀裂が見えるからもっと小さくなるかもしれないね