南極の緑色に輝く氷山の謎がついに明かされる

自然
Credit: AGU/Journal of Geophysical Research: Oceans/Kipfstuhl et al 1992.

南極にある緑色をした氷山(Green Icebergs)については古くから探検家や研究者たちに知られていましたが、それが“なぜ緑なのか”については長い間謎のままでした。

しかし今年の1月に発表された研究では、それが酸化鉄によるものではないかという仮説が立てられています。

 

これが事実だとすれば、この緑の氷山は海の生き物たちにとって命の源である可能性があります。

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気泡がまったくない緑色をした氷山

 

ワシントン大学の氷山学者であるStephen Warren氏は30年以上に渡ってこの緑の氷山について研究してきました。

彼は1980年代に入手された氷山のサンプルを分析し、これが通常の氷山とは明らかに違うことを確信しました。

 

この氷山には気泡がほとんどありません。

気泡は氷山の色を決定づける要素で、通常氷河の色は白か鮮やかな青色をしています。

色の違いは氷河の年齢の違いであり古い氷ほど青色になります。

雪の重みで圧縮された氷河から気泡が抜けることで一定の波長の太陽光(青)しか通さなくなり、その結果古い氷河は青く見えるようになります。

 

この緑の氷山には気泡がありませんでした。これが普通の氷河の氷でないことは明らかでした。

 

当初この色の原因は氷に付着した有機物――植物や死んだ動物――が関係していると考えられていました。

しかし有機物の含有量についてほかの氷山と比較を行ったところ大きな差がないことがわかりますます謎が深まっていきます。

 

何十年もの間頭を悩ませたWarren氏でしたが、2016年にコペンハーゲン大学の海洋研究者たちが発表したテスト結果によって解決の道が見つかりました。

 

緑色の正体は南極大陸の鉄分――それは海の生き物にとって重要な栄養素

 

マリンアイス(Marine Ice)の部分が緑色の正体だと考えられる Credit: AGU

 

そのテストでは南極の東に位置するアメリ―棚氷の底で採取されたマリンアイス(Marine Ice)とよばれる氷の層のサンプルが、上部のサンプルに比べて500倍の鉄分を含むということが示されました。

そしてこの鉄分が南極大陸にある岩石からのものであることもわかりました。

これは氷河が大陸の上を流れ海にせり出していく過程で岩を削り取り、その成分が氷河に含まれていったことを意味します。

鉄分は海水に触れることで酸化しそれが光を浴びることで緑色を放ちます。

 

Warren氏はこの大陸からの岩石の流れによって緑色の氷山が作られたと考えています。

そして鉄分を含む氷山がプランクトンなどの海洋生物や海の植物にとって重要な栄養素になっているという仮説を立てました。

鉄分は顕微鏡でしかみることができないような海の生物や植物にとって重要な栄養素です。

 

Warren氏は氷山が世界の海に流れていく様子を郵便に例えます。

 

郵便局に荷物を持っていくようなものです。氷山はこの鉄を遠く離れた海に届け、それから溶かすことでその栄養分を植物プランクトンに届けることができます。

 

研究チームによると南の海では鉄分が不足しています。

南極大陸と氷山が海の生物のために鉄分補給をしているならばこれは驚きの生態系システムです。

 

緑の氷山はただのエキゾチックな好奇心にしか過ぎないと思っていましたが、現在私たちはそれらが実際に重要であるかもしれないと考えています。

 

Warren氏と研究チームは今後仮説を確かめるための一連のテストを行う予定だということです。

 

 

 


 

緑色に輝く氷山が遠い海の生物の役に立っているというのは本当に驚きですね。

地球というシステムの奥深さや抜け目なさといったものを感じずにはいられません。

 

 

Why are some icebergs green?

Why are some icebergs green?

 

 

References:JGR Oceans,LiveScience

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