地球の環境を守っていくためには、持続的な環境保護が必要です。
しかし多くの人にとって自然環境を守ることは、日常生活を制限してまで行う価値のある行動とは映っていません。
イギリスで行われた大規模な研究は、普段から自然に接している人はそうでない人よりも、環境保護活動に積極的であることを明らかにしています。
人々の環境保護への関心を高めるには、(説教するのではなく)自然と触れ合う機会を日常の生活の中に設けるほうがより効果的です。
普段から自然に接している人は環境保護に積極的
英国エクセター大学の研究チームは、あらゆる年齢層と所得層のイギリス人24,204人を対象に、普段の生活でどのくらい自然と接する機会があり、また日常的に環境保護に関する行動をとっているのかについて調査しています。
研究に参加した人たちは、「リサイクルをするか」、「環境に優しい商品を利用するか」、「地元や季節の農産物を購入するか」などといった、環境に配慮した行動の有無について答えました。
研究チームはそれらのデータと、彼らの日常での自然への接触度合いとを比較し、そこに何らかの関係性があるのかを調べました。
その結果、普段から自然と接する機会のある人ほど、環境保護活動に関心を持ち、また実際に行動に移していることがわかりました。
レクリエーションのために自然を訪れた人はリサイクル活動に積極的であり、炭素を出さない旅行方法(飛行機に乗らない、公共交通機関を利用するなど)を選択し、さらにはボランティア活動に従事する率も高い傾向にありました。
またデータはこの傾向に年齢や収入の差が関係していないことも示しました。
研究者の一人であるエクセター大学のイアン・アルコック氏は、「私たちが知って欲しいメッセージは、自然とのつながりが、人々の環境保護への持続的な行動を促進するかもしれないということです」と述べています。
今回の研究は、過去の似たような研究を補足するために行われました。
以前の研究では、農村部や沿岸部といった都市部よりも自然の多い地域に住む人が、そうでない人に比べ環境保護活動をより多く行うことが示されていました。
しかしこの研究は小規模なもので、また対象者の年齢や収入といった点を考慮していないものでした。
今回の研究結果は過去の結果を再確認するだけでなく、自然に触れれば人はそれを守ろうと行動を変える可能性があることを改めて示しています。
アルコック氏は、環境保護の促進には人々の積極的な自然への関わりが重要だとし、都市空間に自然へのアクセスができる場所を設けるなど、政策の観点からの改善も必要であると話しています。
研究結果は、Environment Internationalに掲載されました。

リサイクルしろー!とか環境を守れー!とか言うだけじゃ人はなかなか変わらないよね

身の回りにもっと自然があれば、人はそれを守りたいと考えるようになるはず……
References: BBC