既に75の品種が絶滅の危機、おいしいコーヒーを飲めなくなる時代はすぐそこに

自然

朝に飲むコーヒーは現代人にとって癒しの一杯といえます。

甘い香りとほどよい苦さ、そしてカフェインの効果が一日の始まりを後押ししてくれます。

しかしこの世界中で愛飲されているコーヒーが、近い将来飲めなくなる可能性があることが最近の研究でわかってきました。

 

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絶滅の危機にあるコーヒー

 

 

イギリスの王立植物園「キューガーデン」の研究者は、現在世界で知られている124のコーヒー種について、その60%近くが絶滅の危機にあると発表しました。

キューガーデンのコーヒー研究及び植物資源の責任者であるAaron Davis氏は、絶滅に瀕しているコーヒー種は、通常の植物の絶滅リスクと比べて遥かに高いと語ります。

 

Davis氏の研究チームは最新のコンピューターモデリング技術を使用して、現存するコーヒー種のうちの75種類が絶滅の危険性にあることを突き止めました。

そのうち13種については絶滅寸前にあり、40種は絶滅危惧、残りの22種は絶滅の危険性が高い状態に分類されました。

 

現在世界のコーヒーは2つの種だけに頼っています。

アラビカ種ロブスタ種は何百年もの間、人々にコーヒーのおいしさを届けてきました。

この中でも特にアラビカ種は世界のコーヒー売り上げの60~70%を占めていますが、その代表的な生産地であるエチオピアと南スーダンでは、近年森林破壊や気候変動によって近縁野生種が被害を受けるようになってきました。

近縁野生種は栽培されている作物の同一種や野生種を含む近縁種のことで、これらが失われると遺伝的多様性がなくなり、一度重大な病気にかかると作物を回復することができなくなります。

 

キューガーデンの研究者たちは40年に及ぶエチオピアの気候データを元に、この地域の森林減少や干ばつ、病気などがコーヒー種に与える影響を測定しました。

その結果多くの地域において、「コーヒー種の多様性を保護する必要性がある」との結論を導き出しています。

 

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コーヒーの未来を守るためにできること

 

何百年もの間コーヒー農家たちは野生種を利用してきました。

野生種が気候変動や病気、害虫などにより失われてしまえばアラビカ種は長く生き残れない可能性があります。

そうならないためには、自然を保護しながら遺伝的多様性を確保しなければなりません。

 

気候変動がコーヒーに与える影響を研究しているTadesse Woldermariam Gole氏は、「エチオピアとアラビカコーヒーの重要性を考えるならば最善を尽くす必要がある」と語っています。

 

 

Fairtrade Australia&New Zealandが2016年に出した報告書では、わずか数十年のうちに気候変動によりコーヒー生産量が最大50%減少し、農作物と農家が大きな被害を受ける可能性があるとしています。

 

キューガーデンのDavis氏は、コーヒーの未来について次のように語ります。

 

私たちの研究は、これらの重要な資源を保護するように今から行動できなければ、コーヒーの未来は決して明るくはないということを示しています。

 


 

“今のところ”は安心でも、着実に進みつつある気候変動を止めることができなければ、コーヒーは近い将来永遠に失われてしまう可能性があります。

コーヒーを愛する消費者は、「フェアトレード」の商品を購入することで、コーヒーの未来と生産者を支えることができます。

 

コーヒーをこれからもおいしく飲んでいくためには、生産者が置かれている状況や流通の仕組み、そして気候変動が及ぼす影響などについて消費者が関心を持つ必要があります。

 

 

 

References:sciencemag,sciencealert