最も身近で簡単な気候変動対策、それは“肉を食べるのをやめる”こと

IPCC――気候変動に関する政府間パネルが最近発表した報告書は、地球温暖化を防ぐためにできることについて言及しています。

それによると、より少ない肉を食べ、食物廃棄を減らすことは温室効果ガスの排出量を削減し、私たちの健康と環境に利益をもたらす可能性があります。

 

気候変動に対してできることなど限られていると考えがちですが、報告書は人類が食事と食べ物に関して行動することで、気温上昇を防ぐのに必要な努力の20%を賄えることを明らかにしています。

世界自然保護基金によると、食品廃棄物と肉の消費は地球温暖化の大きな要因の一つであり、それは温室効果ガスの排出量全体の8~10%を占めるほどです。

 

地球の温度が上昇し干からびてしまう前に私たちにはできることがあります。

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温暖化対策のためにできる身近な行動――肉の消費を減らす

 

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IPCC発表した報告書は主に政策立案者を対象にしていますが、専門家は気候変動を食い止めるために消費者にもできることがあると考えています。

その中で最も身近で効果的なものが、肉の消費を少なくすることです。

それはなぜか――家畜の生産が資源集約的であるからです。

家畜の生産には広い土地だけでなく、飼料や肥料が必要とされ、それらは作られる過程で温室効果ガスを排出します。そして主に牛から出るメタンガスは気候変動に影響を与えることが知られています。

 

IPCCの食肉に関する報告と提案については多くの科学者や政策担当者が賛同の意見を発しています。

NRDC――天然資源保護協議会のスジャータ・ベルゲン氏は「赤身肉のような食品の消費を減らすことは、地球を救うのに役立ちます」と述べ、個人の食生活のわずかな変化でさえ気候変動に大きな影響を与えることができるとウェブサイトに記しました。

そして食事による気候変動への対抗策を進めていくためには、個人の行動だけでなく、大手の食品提供会社が責任を持つことが重要であると付け加えています。

 

また栄養士で植物由来の食品と持続可能性についての専門家であるシャロン・パーマー氏は、「成長を続ける全世界が私たちと同じように(肉を)食べてしまうとその衝撃はすさまじく地球は耐えることができません」と述べ、動物性食品の摂取量を減らすことが個人ができる最も強力な温室効果ガス削減の手段の一つであることを訴えました。

 


 

気候変動の要因には多くの要素が複雑に絡み合っていますが、Natureによる研究では人口増加と赤身肉や加工食品を含む西洋的食事は気候変動に大きな影響を与えています。

試算では、このまま肉の消費活動が続くと、2050年にはその温室効果ガス排出の影響力が現在の50%から90%にまで上昇する見込みです。研究者はこれを“惑星の限界を超えたレベル”と表現しました。

 

どの専門家も一様に食肉に関して厳しい意見を述べています。

しかし肉類は豊富な栄養を含み、人間の活動に欠かせないものとして口にされてきた長い歴史があります。

本当に肉を食べるのをやめたとしたら、私たちは代わりに何を食べていけばいいのでしょうか?

 

植物性食品の摂取は温暖化を防ぎ健康にも寄与する

 

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栄養士のシャロン・パーマー氏は、動物性食品の代わりに植物性食品を摂取することは地球温暖化を防ぐだけでなく、人々の長期的な健康にも寄与するとしています。

IPCCの報告で推奨される植物性食品には、トウモロコシや麦類、マメ科の植物、果物、野菜、ナッツ、種子などが含まれています。

パーマー氏によるとこれらの食品は、肥満や心臓病、2型糖尿病のリスクを下げることができます。

 

レンズ豆、エンドウ豆などのマメ科の植物は地球上で最も持続可能なタンパク質源です。成長するために必要な水が少なく、厳しく乾燥した環境でも生産することができます。

 

食料の生産(食肉を含む)には水と土地が必要になります。

それらの資源が少なくてもすむこれらの植物性食品は、増え続ける地球の人口を支え気候変動による影響を防ぐ上で重要な食品として認識され始めています。

 

とはいえ肉がおいしい食品であることにかわりはなく、食卓から永久に肉が消えてしまうのはあまりに悲しいことです。

栄養学的にみれば毎日肉を摂取する必要はありません。

専門家たちは肉の摂取を減らすための具体的な第一歩として、食事から全ての肉を取り除くのではなく、豆類など植物由来のタンパク質と一緒にバランスよく食べることを勧めています。

 

パーマー氏は、人々の動物性タンパク質に対する食事の偏りを克服するのはなかなか難しい、としながらも決して不可能なことではないと語っています。

 

食品の廃棄をなくすことは地球を救うことにつながる

 

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IPCCの報告書では食品廃棄についても言及されています。

報告では世界中で生産された食料のうちの25~30%は一度も手を付けられることなく廃棄されています

にもかかわらず世界には8億2100万人もの人が栄養不足で苦しんでいます。

 

世界の廃棄物削減に取り組んでいる慈善団体「廃棄物と資源行動プログラム」によると、仮に食品廃棄物全体を一つの国として計算するならば、その温室効果ガスの排出規模はアメリカと中国に次いで3番目の大きさになります。

同団体の食品部門の責任者クレア・ネラー氏は「9人に1人が空腹で就寝している間に10億トン以上の食料が廃棄されているという事実は馬鹿げている」と述べ、食料廃棄物を減らすことの重要性を強調しました。

 

食料廃棄物を無くすためには消費者側の意識の変化も必要です。

アメリカ環境保護庁は、人々に「食事の計画を立てること」「買い物リストを作ること」を推奨しています。

同庁によると、食べ残しや使わずに腐ってしまった食品など、捨てられている食品の約94%は最終的に埋め立て地や焼却施設に廃棄されています。

既に家の中にあるものは買わない、買い物の前に冷蔵庫を確認する、必要以上のものを買ってしまった場合はフードバンクなどに寄付をする――このような選択肢は、消費者が身近にできる最も効果的な温暖化対策です。

 

 

 


 

NRDC――天然資源保護協議会の報告ではアメリカで売られている食品の40%は一度も消費されずに捨てられています。

食品を作るコストにはお金だけでなく、地球環境の持続性も含まれています。

食品を捨てることは地球の未来を捨てるのと同じことです。

幸いアメリカでは食品のロスがもたらす気候変動への悪影響について人々が自覚し始めています。

 

ニューヨーク市は2040年までに牛肉の購入を現在の半分にするという目標を設定しました。

またフードサービス大手アラマークは、気候変動に対処するために全ての事業にまたがる全体的な戦略を開発すると表明し、その進捗状況を公開すると発表しています。

NRDCの試算ではアメリカ人がハンバーガーを1週間に1つだけ食べるのをやめれば、年間で1000万台分の自動車から排出される温室効果ガスを削減できます。

 

気候変動による環境の変化は急激に進行しています。

身近にできる行動こそ、私たちにできる最大の温暖化対策です。

 

 

 

 

References:CNN,NRDC

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