3月20日に台湾北東沖で4mを越える大きさのホホジロザメが捕獲されました。
ホホジロザメは雌で体重は1170kgもあり、オークションにより1kgあたり1.62ドルで販売されました。
これだけだと漁師たちにとってはちょっとした話のネタにしかなりませんが、世界中が注目したのはこのサメのお腹の中に14匹もの赤ちゃんサメが隠れていたことでした。
ホホジロザメに詳しいカリフォルニアのPacific Shark Research CenterのディレクターDavid Ebert氏は、このサメがお腹の中に抱えていた赤ちゃんの”14匹”という数は世界的な記録かもしれないと話します。
Ebert氏によると妊娠中のホホジロザメが捕獲されること自体がめったにないということです。
お腹の中にいた赤ちゃんサメ。ちょっとかわいそうですね……。Image:Taiwan English News
ホホジロザメの成長は遅く成人するまでに必要な年数は雄で26年、雌で33年かかるといわれています。
それだけならばまだいいのですが、誰もが知っている通りホホジロザメはその凶暴さによっていわれなき憎悪の対象になってきました。
現在ホホジロザメはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストカテゴリーで絶滅の危険性が高いと判断される「危急種」に分類されています。
そんな貴重な妊娠中のホホジロザメの捕獲のニュースに目を輝かせているのが科学者たちです。
フロリダ大学の海洋生物学者George Burgess氏によると、過去の妊娠していたホホジロザメの事例では赤ちゃんサメの数は12匹が最大の数字でした。
科学者が研究できる(妊娠中の)ホホジロザメはほんの少ししかいないため、これは生物学者である私たちにとってとても大きな情報と言えます。
Burgess氏は、ホホジロザメには子宮が2つあるのでそれぞれの子宮に7匹ずつが入っていたのではないかと推測しています。
また写真の赤ちゃんサメはかなり大きく見えますが、それでも生まれる準備ができているという意味ではないとも語りました。
彼らは成長するまで母親の子宮の中で未授精だった卵を食べて大きくなります。
子供の身体の大きさを測定することができれば、彼らがどれくらいの間母親の子宮にいたのかを推定することができるということです。
Burgess氏は急いでいます。
それはホホジロザメが既にオークションにかけられ販売されてしまったからです。
彼は何とか落札者と連絡をとりサメが解体される前に貴重な情報を得ようとしています。
そして科学者として刺激的な事例ではあるが、個体数が激減しているホホジロザメの世界を考えると妊娠中のサメが捕獲されたことは悪いニュースと言えるだろうと語りました。
漁をしている最中に網に引っかかってしまったのはホホジロザメにとっては不運でした。
誰を責めることもできませんが、せめて落札者は貴重なケースを後世に伝えるためにもBurgess氏の依頼に応えてあげて欲しいと思います。
References:TaiwanEnglishNews,LiveScience